廉価なスポーツカーを目指しつつ6気筒を搭載!
ポルシェ914は1969年フランクフルトショーでデビューした。フォルクスワーゲンのパワーユニットを流用していることからも分かるように、911とは異なり、廉価なエントリーモデルとしてのスポーツカーであった。当時の新たな主力車種である911には、356の強みであった安価さが薄かったため、対応策として912(356のエンジンを911に搭載)がリリースされたが、これもさほどの価格低減にはならず、思い切ってニューモデルとして企画されたのが914だったのである。
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フォルクスワーゲン・タイプ4のフラット4を前後逆に搭載しミッドシップ化、乗員は2名に限定。車体前後に大きなトランクが設けられ、4人乗りでないこと以外、実用性は低くはなかった。ルーフはタルガトップとされ、外してリアトランクに収納可能。クリーンなルックスはポルシェ社内のデザインによるものだった。ボディサイズは全長3985mm/全幅1650mm、ホイールベースは2450mm。設計・生産ともにポルシェが担当したが、販売はフォルクスワーゲンとの共同出資で設立した新会社、VW-ポルシェAGで行われた。
前述の通りエンジンはVWの4気筒OHV 1697cc(出力80ps)を搭載したが、911用6気筒を搭載したモデルも用意された。それが914/6である。空冷水平対向6気筒のOHC 1991㏄エンジンは1968年型911Tと同じセッティングで、最高出力110ps。ミッションは914、914/6のいずれもポルシェ製5速MT、足周りも基本的には共通で、サスペンションはフロントがストラット+トーションバー、リアがトレーリングアーム。ブレーキは前後ディスクで、フロントのみベンチレーテッドだった。
914/6の方が若干サスペンションが固められていたほか、ブレーキのディスク径が大きく、ホイールハブも911用を装着。そのため標準の914が4穴であるのに対し914/6は5穴となり、911用アルミホイールもオプションで選べた。重量は当然4気筒の914より重かったが、最高速度は201km/hに達した。914/6はポルシェの名に恥じない新時代のミッドシップスポーツと言えたが、やはり価格は高価なものとなり、基本コンセプトと齟齬を来してしまった。そこで1972年に生産中止、その地位は新設定の914/2.0に譲られる。
こちらのエンジンは914用ユニットをベースに2Lへ拡大したもので、914/6とほぼ同等のパフォーマンスを発揮した。しかし、2人乗りであることやアクの強いスタイルから914シリーズのセールスは伸び悩み、1975年に生産を中止。エントリーモデルの地位はニューモデルの924が引き継ぐこととなったのである。
全体の構造を見直しつつ形状も修正
ポルシェ914のプラモ化は多くなく、正統的なスケールモデルはバンダイ1/20とレベル1/25のふたつくらいであろうか。レベルのキットは914/6の再現で、オリジナルは1970年製(H-1317 )だが、最近のバージョンもそれを感じさせないほどモールドは綺麗で、金型のヤレも見当たらない。ディテールにやや甘い所もあるが、トランクやドアのラインなどを少し彫り込んでやるだけで、今も十分観賞に堪える。
フロントのウィンドシールドは別パーツで、ダッシュボード上部はボディと一体に成型されるという、ちょっと変わった構成だ。別体のウィンドシールドは細いもので、変形があったため修正を試みたが見事に破損。別パーツのルーフとのフィッティングも良くないので、修復したウィンドシールドとルーフをボディに接着、一体化した。そうすると、ダッシュボード上面の塗装が厄介だ。結果、この部分をボディから分離してダッシュボードに取り付けることとした。
リアトランクとエンジンフードは開閉可能だが、ヒンジとボディパネルの一部をシャシー側に取り付ける構成なので、ここもボディ側に接着。残念ながらフラット6エンジンを上から見ることができなくなったが、ボディの一体感を優先した。ついでに、別パーツのボディ前後も一体にしてフィッティング作業を行う。リアエンドはややディテールが異なるので修正した。もう一点、リアピラーの側面形も実車と少し違う。ルーフトップから根元までなだらかなカーブになるように、プラ板を貼って修正した。
ボディを一体化したことによりインテリア、シャシーの取り付けも調整するが、ダッシュは塗装後にボディ側に取り付けるようにして、シャシー/インテリアを下から組み込む。このため、シャシーの前後を少し切り取って、ボディに入れ易くしておく。特にルーフの位置関係からシートバックやバルクヘッドがボディと干渉し、タイヤの位置にも影響するので、前後サスペンションも調整した。タイヤは軟質樹脂製でパターンも細かくリアルだが、ストックにはやや太すぎるので、作例では細いタイプのものに交換。914/6は派手なオバフェンの付いたレース仕様も魅力的だから、使わなかったタイヤはいずれそれを作る時のために取っておこう。
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