昔ながらの硬派なカスタムを現代の視点で再構築
歴代の日産スカイラインの中でも飛び抜けた知名度と人気を誇る、3代目C10型系スカイライン、いわゆるハコスカ。1968年デビューのこの3代目スカイラインは、「愛のスカイライン」と銘打った広告展開、GT-Rの登場、新たなボディ形式である2ドア・ハードトップの追加などで、スカイラインの基礎をなしたと言うべきか、そのイメージを確立した存在と言えるだろう。
【画像90枚】見事に再現された”コヤジの宝物”とその制作工程を見る!
微妙な曲線と曲面によってボクシーなプロポーションが構成される独特のボディデザイン、L型エンジンの信頼性と、前ストラット/後セミトレのサスペンションによる確かな走行性によって日本のGTを確立したのが、この3代目スカイラインなのである。当時の国産車としてはまだ珍しいメカニズムだったDOHC 4バルブのS20エンジンを搭載し、国内ツーリングカーレース50連勝の金字塔を打ち立てたGT-Rの伝説については、あらためて言うまでもないだろう。
1970年のマイナーチェンジでは、新たなボディとして2ドア・ハードトップが追加された。4気筒モデルと6気筒のGT、どちらにもこのボディは用意されたのだが、このときGT-Rはセダンを廃止しハードトップのみとなった。ホイールベースが70mm短縮されていることにより、レースでの戦闘力も向上していたのである。スカイラインは1972年に4代目・C110型系へと移行しているが、以後もC10型、特にGT(セダン:GC10/ハードトップ:KGC10)やGT-R(セダン:PGC10/ハードトップ:KPGC10)の人気は高かった。
当然ながらGT-Rの武闘派なイメージは広く好まれ、GTをベースにR用のグリルや後輪オーバーフェンダー(ハードトップのみの装備)を装着するカスタマイズは、長らくハコスカのドレスアップ手法の定番であった(その反動で、近年ではフルノーマル状態を維持したGTが高く評価されるようになってきたようだ)。また、レース仕様GT-Rのそれを模したオーバーフェンダーやライトカバー、オイルクーラー、前後スポイラーなども、走り屋、と言うよりは街道レーサー方面でのお約束パーツである。
フロントマスクの角度変更がイマイ金型ハコスカ制作のカギ!
さて、愛知県に本拠を置くチューニング・ファクトリーのリバティーウォークは、日本独自の街道レーサー・スタイルをベースとする、個性的なカスタマイズ(LBパフォーマンス、LBワークスなどいくつかのブランドがある)で世界的な注目を集めている。その代表を務める「シャコタンコヤジ」こと加藤渉氏の愛車として知られるのが、ここで採り上げたハコスカ2ドアである。一見よくある街道レーサーに見えるが、高度な板金技術による美しい仕上りやディテールへのあくなき拘りは、族車をデザインモチーフとして昇華させたカスタムカー、とでも言うべきものだ。
ハコスカ2ドアのプラモデルはいくつもリリースされているが、このLBワークス仕様を再現したキットはアオシマ製のみである。このキットは、旧イマイ金型の2ドアGT-Rがその大元。これにセミワークスフェンダーやチンスポイラーなどの部品を追加したレース仕様を基本として、ツリ目のグリルレス・マスクやピラーダクト、スピードスター・マークⅢ 14インチホイールと引っぱりタイヤなどを加えたのが、LBワークス仕様のキットである。
このキット、そのまま組んで雰囲気を楽しむのも良いが、細部は実車とかなり違っている。有名な個体ではあるが、個人の所有者ということで意外に資料は少なく、キットのパッケージ写真とインターネットで拾い集めた画像を元に、細部を考証して制作したのが、ここでお見せしている作例だ。実車の個体としての特徴だけでなく、イマイ金型のハコスカに見られる、今ひとつ似ていないポイント、すなわちフロント周りの造形にも手を加えている。
このほか、若干大きすぎるホイールアーチへの対処や、ステア機構に見られる欠点(タイヤがステア時に大きく首を振ってしまう)の解決法など、様々なポイントについて解説しているので、詳しくは、工程写真に付した解説をお読み頂きたい。
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