“イイもの感”が増し人気がさらに加速しそう!
フォルクスワーゲンが着々とラインナップを増やす中、ICEの稼ぎ頭として予想以上の人気を博しているT-ROCが早くもマイナーチェンジを受けた。スタイリッシュな印象を際立たせるバンパーの意匠変更やインテリアの質感向上などに加え、「R」グレードの新設定など、人気を加速させるアップデートに注目だ!
【写真12枚】早速のマイナーチェンジで走りと質感が大幅アップ! フォルクスワーゲンT-ROCの詳細を写真で見る
走りとインテリアの質感がグレードアップ
ゴルフクラスのクロスオーバーであるT-ROCが日本に上陸したのは、2020年7月のこと。ブランニューであるにもかかわらず、SUVブームに乗ったT-ROCは、2021年に輸入SUVナンバー2、外国メーカー車モデル別ランキングで堂々6位に入るなど、一躍人気モデルになった。
路上でも頻繁に目にするこのコンパクトSUVが、日本での発売からわずか2年でアップデート版が導入されることになり、さっそくチェックする機会を得た。
マイナーチェンジだけに、SUVとしては低くスタイリッシュなフォルムはそのままだが、エクステリア、インテリアともに上質さを増したのは見逃せない。たとえばフロントマスクは、VWエンブレムの両側にLEDのライトストリップが配置されたのをはじめ、新デザインのバンパーやデイタイムランニングライトの形状変更などにより、これまで以上に印象的なスタイルを手に入れている。
それを上回る進化を遂げたのがT-ROCの新しいインテリアだ。ゴルフクラスのSUVであり、価格設定もゴルフより高めのT-ROCだが、正直なところ従来型ではインテリアの質感はやや物足りない印象があったのだ。ところがこのマイナーチェンジ版ではそんな不満が一気に解消されている。ダッシュボードやドアトリム、ドアアームレストにはソフトパッドや人工皮革が施され、さらにステッチを配すなどして上質さが格段に向上。インフォテインメントもディスプレイが流行のタブレット型になり、さらにタッチコントロール式のエアコン操作パネルや、新デザインのステアリングホイールを採用するなど、細部まで手が加えられている。現行ゴルフに乗る筆者としてはうらやましいかぎりである。
新しいT-ROCには、1.5L直列4気筒ガソリンターボを搭載するTSIアクティブ/TSIスタイル、2L直列4気筒ディーゼルターボのTDIスタイル/TDI Rライン、さらにパワフルな2L直列4気筒ガソリンターボを積む4WDモデルのT-ROC Rが用意され、このうち今回はガソリンエンジンのTSIスタイルを引っ張り出した。
アイポイントが少し高めの運転席に陣取り、さっそく走り出すと、1.5L TSIエンジンがT-ROCを軽々と加速して見せる。エンジンの回転数が2000rpmを上回ると一段と力強さを増し、街中から高速までストレスなく加速するには十分な性能を発揮する。一方、アクセルペダルを軽く踏む状況では、気筒休止機構が働いて2気筒での運転に切り替わり、燃費を稼いでくれるスマートな一面も。街中で加速する状況では低いエンジン音が耳につくこともあるが、スピードが上がればすぐに気にならなくなる。実に優秀な実用エンジンといえるだろう。
1590mmとSUVとしては全高が低めということもあって、走行時の挙動は落ち着いている。具体的には、走行時のピッチングは控えめで、コーナリング時のロールも穏やかなものだ。215/55R17と大きすぎないタイヤを装着するTSIスタイルは乗り心地がマイルドで、目地段差を超えた際のショックも快適なレベルに収まっている。
T-ROCは全長で45mm、ホイールベースで30mm、ゴルフよりも短いが、後席の広さやラゲッジスペースはほぼ互角の実用性を備えているのもうれしい。
マイナーチェンジにより、明らかに魅力を増したT-ROC。普段ゴルフに乗る者としては、ゴルフよりも扱いやすいユーザーインターフェイスが好ましく、SUVが好き、または興味があるという人にとっては、むしろゴルフよりもオススメしたい一台である。
【Specification】フォルクスワーゲンT-ROC TSIスタイル
■全長×全幅×全高=4250×1825×1590mm
■ホイールベース=2590mm
■車両重量=1320kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1497cc
■最高出力=150ps(110kW)/5000-6000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/1500-3500rpm
■燃料タンク容量=50L
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:トレーリングアーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F&R)=215/55R17
■車両本体価格(税込)=4,179,000円