アウディQ5の高性能バージョンであるSQ5は3L V6ターボを搭載するスポーツSUVだ。一方のe-tronは、ブランド伝統のクワトロもBEVに合わせて刷新され、高いクルージング性能を持つ。生方氏はエンジンとモーターのどちらをセレクトするのか?
洗練された走りこそアウディの魅力
今回乗り比べるのは、アウディのプレミアムミッドサイズSUV、Q5のトップグレードであるSQ5と、ブランド初の量産EVとして登場したe-tron。両モデルとも、SUVスタイルのデザインを身に纏うことに加えて、縦置きパワートレイン用プラットフォームの「MLB evo」を採用するなど共通点が多い。一方、ICE車とEVだけに中身は異なり、たとえばクワトロと呼ばれる4WDは、SQ5が機械式センターデフとプロペラシャフトを持つ伝統のクワトロであるのに対し、e-tronの場合は前後のモーターをそれぞれ制御することで4WDを構成する電動クワトロを搭載。プロペラシャフトが不要なぶん、フロアトンネルのない広い足元を実現するなど違いが目につく。
【写真11枚】エンジンとモーター、異なるパワートレインでも洗練された走りが光るアウディの最新SUVを写真で見る
まずはSQ5の運転席へ。主力モデルのA4シリーズとほぼ共通のコクピットはシンプルで美しく、直感的に操作できる機能的な仕上がりはまさにアウディの得意とするところだ。アイポイントがやや高いSQ5は乗りこんだ瞬間こそSUVであることを意識するが、ひとたび走り出せば、気分はスポーツワゴン。専用のスポーツサスペンションを手に入れたSQ5は、やや硬めのセッティングにより、SUVで気になるピッチングやロールといった動きをうまく封じ込め、安定感のある走りを実現。それでいて十分な快適性を確保しているのがうれしいところだ。トルクベクタリング機構のリアスポーツディファレンシャルを備えることで、FR車のような軽快なハンドリングが楽しめるのも、このクルマの魅力である。
搭載される3L V6エンジンは、低回転でのターボラグが多少気になるものの、回転が上がれば余裕ある加速が楽しめるし、いざという場面でアクセルペダルを深く踏み込めば、スポーティなサウンドとともにレブリミットまで一気に吹け上がり、まさに気持ちいいのひとことである。
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