今年1月に公開されたアウディe-tronシリーズ初のコンパクトSUV、Q4 e-tronに試乗する機会を得た。今回は欧州仕様のため、各部の仕様は今後変更されるはずだが、それでも高い完成度を披露してくれた。
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RWDのEVならではの素直なハンドリング性能
最近は国内外を問わずEVが続々と登場しているが、そうした中でアウディが日本市場に送り込んでくる第3のEVが今回紹介するQ4 e-tronである。
アウディが第1弾のe-tronを送り出したのは2018年と早く、この時点で圧倒的な完成度を誇っていた。そして昨年日本市場にも導入されたe-tron GTは、EVならではの圧倒的な運動性能を見せつける商品だった。そうした流れの中でのQ4 e-tronは、ついにアウディのEVの民主化を実現する狙いのあるコンパクトSUVとなる。
このQ4という車名が示すように、ボディサイズはQ3とQ5の間に位置する。つまり日本の道路事情の中で使うにはまさにジャストサイズの1台だ。
今回試乗したモデルは欧州仕様のため、日本仕様とはやや異なるし、ステアリングも左だったが、それでも実力の高さは存分に実感できるものだった。
まず内外装のデザインだが、やはりEV云々という以前に、アウディのプロダクトであることを感じさせる質の高さがあり、それでいてこれまでの内燃機関のアウディのSUVとは異なる雰囲気をしっかりと持ち合わせている。
写真で見るとずんぐりむっくりな感じに思えるが、実際に目にすると想像以上にスポーティ。また内燃機関同様にグリルは備えるものの、雰囲気は確実に新世代の感覚が漂っている興味深いデザインだ。一方でインテリアも、これまでのアウディのデザインをしっかりと踏襲しつつ、e-tron GTなどと共通する世界観がある。
今回試乗したQ4 e-tronは1モーターの2WDモデルだった。FFか……と思いきや、なんとRWDモデルなのが特徴だ。前後にモーターを備えるクワトロは今後ラインナップされるのだろう。
バッテリー容量は82kWhと大容量の部類。このため車両重量は2050kgと2トンを超える。モーターの最高出力は204ps、最大トルクは310Nmと、性能は標準的なもの。そして航続可能距離は486kmとなる。
実際に走り出してまず感じるのは、RWDならではの走りの質の高さだ。通常2WDならFFを選択するライバルが多い中で、やはり後ろから押してくれる感覚とステアリングフィールの素直さが気持ち良い。最近国内外を問わず新型EVに乗る機会が多いが、そうした中で見てもこのQ4 e-tronの実力は相当に高い。
またEVの場合、バッテリーを床に搭載することで低重心となるため、運動性能も向上するし、重量が重いので乗り心地も有利……となるのが相場なのだが、どうも最近の国産EVはそうならないクルマが多く首をひねることがある。しかしながらこのQ4 e-tronときたら、低重心や重量の重いメリットが存分に生きており、走りが素直に気持ち良い。
メカサスに21インチサイズのタイヤ&ホイールを履くが、国産EVのような乗り心地の悪さはなく、もしやエアサスか? と思うほどしなやかな乗り心地を生み出している。また運動性能に関しても高い上に自然なフィーリングが作り込まれる。
その走りは極めて自然で気持ち良いもので、これぞEVだからこそのメリットといえる仕上がりを持っている。文字にすると普通に思えるが、実はこの普通を実現できていないEVが多い中にあって、Q4 e-tronは貴重な存在であり、それだけ完成度も高い、ということの証である。あとはポルシェとの連合によって、急速充電器の配備が進めば申し分のない1台といえるだろう。
【Specification】アウディQ4 40 e-tron Sライン(2WD)
■全長×全幅×全高=4588×1865×1632mm
■ホイールベース=2764mm
■車両重量=2050kg
■最高出力=204ps(150kW)
■最大トルク=310Nm(31.6kg-m)
■航続距離(WLTC)=486km
■トランスミッション=CVT
■タイヤサイズ(F&R)=235/45R21
※数値は欧州仕様車