スポーツカーの神髄はやはりFRにあり!? BMW2シリーズクーペの実力をシボレー・カマロSSとメルセデスAMG A45Sと徹底比較!

カマロSSが新解釈したアメリカンマッスルの価値

カマロの名称は「友人・仲間」を意味するフランス語「Camarade(カマラード)」に由来する。だが、そんな友好的な名前とは裏腹に、カマロはフォード・マスタングを打倒すべく開発されたという。

カマロSSが搭載する6.2LのV型8気筒は、かつてのアメリカンマッスルが積むエンジンとは別モノだ。爆発圧力の大きさを強調するドドドッという重低音とは異なり、胸のすくような高周波サウンドを響かせる。そのため、レブリミットは6500rpmとなるが8500rpmくらいは回っていそうな刺激がある。

なおかつ、10速ATをパドル操作でシフトアップする瞬間にはババッ、アクセルを戻せばバリバリッという破裂音まで発する。操作に対するクルマの反応を音で演出することで、臨場感を際立たせているのだ。やはりシボレーは、走りの楽しませ方を熟知している。

6.2LのLT1型V8エンジンはビッグボア×ショートストロークなシリンダーを採用。トランスミッションは新開発のパドルシフト付10速ATで、LSDや電制サスを標準装備する。4本出しマフラーとボンネットのエアエクストラクターがカマロSSの特徴だ。

その一方で、高速道路ではゆったり走ることもできる。10速100km/hのエンジン回転数は、わずか1300rpmだ。ターボに頼る必要がない大排気量エンジンなので、低回転域からでもアクセル踏み込み量しだいで期待する力強さが即座に立ち上がる。いや、正確にいえば期待よりも絶妙な加減で力強さが上乗せされるので、かつてのアメリカンマッスルの底力を思い出させてくれる。

直進時には、ステアリングがセンターでシッカリと落ち着いている。ステアリングに軽く手を添えるだけで、アメリカの荒野を貫くハイウェイをどこまでも走り続けるシーンが思い描ける。

だが、コーナーが苦手というわけではない。ステアリングの切り始めにわずかな弾性感があることに気づくものの、大きく切り込む場面では一瞬で通過する領域だ。コーナー進入時から舵角が一定になるコーナリング中に到るまでには、操作の通りの応答性を示す。

エンジンはV8の他に、クーぺLT RSとコンバーチブルが積む2Lの直4ターボを用意。直4でも最高出力は274psを発揮し走りの不満はない。しかも、ノーズが軽くなるのでダイレクト感のある操縦性を実現。

限界まで攻めてはいないが、コーナーを飛ばし気味に駆け抜けるレベルの速域なら狙った走行ラインを正確に維持。運転席の座面はM240iよりもさらに低いだけに、走行ラインに照準がより合わせやすいことも役立っている。

誘いかけが巧みさでA45Sは真価を発揮

メルセデスAMGによると、量産車向けの4気筒ターボエンジンとしては世界で最もパワフルというM139ユニット。標準グレードは387psを発生し、Sグレードではブースト圧を1.9から2.1に高めて421psと、リッター当たり200psを超える。

メルセデスAMGのA45Sに乗り換えると、別カテゴリーのクルマであることを意識させられる。試乗車は、オプションのAMGパフォーマンスシートを装備していたので見た目はスポーティだ。だが、運転席の座面はハッチバックとしては低くても同行の2モデルと比べると高め。いい意味ではパノラミック感があるものの、タイト感とは無縁だ。

FFがベースなので、前後駆動力配分の基本は100:0となる。走行場面とドライバーの操作に応じて最大で50:50まで可変制御。後輪左右の駆動力配分もすることとで、操縦性と安定性を高次元でバランスさせる。

それでも、走りを楽しむ際に視線が上がることは武器にもなる。初めて走る場面なら、コーナーを俯瞰気味に見た方が走行ラインがイメージしやすいからだ。なおかつ、イメージの通りにステアリングを切り込めば微小な抵抗感を伴うことが惜しまれるが操作の通りになる応答性が実感できる。

たとえ座面が高くても、コーナリング中のロールが実際よりも大きめに感じることはない。そもそも、試乗車はオプションのダンパーの減衰力を可変制御するAMGライドコントロールサスペンションを装備していたのでロールは大きくない。ただ、荒れた路面でボディにわずかな振動が残ることがある。そのため、設定が硬いと誤解されかねないが、ダンパーの減衰力が高めの領域を維持している場面でもサスペンションはスムーズに動いているので、不快感を覚える突き上げは意識せずに済む。

2Lの直列4気筒ターボは、なんとM240iが積む3Lエンジンを超える最高出力421psを発揮する。大型ターボにより得た性能なので、過給効果が立ち上がりにくい低回転域ではトルクが細いように感じてしまう。

だが、このエンジンは自ら回りたがっているような軽快さで吹け上がる。それだけに、積極的にアクセルを踏みたくなるのだ。こうした誘いかけの巧みさは、メルセデスAMGならではの魅力といえる。その誘いに乗れば、レブリミットの7000rpmまでブン回しながら派手なサウンド演出により走りが存分に楽しめるのだ。

しかも、A45Sはフル4シーターとして扱える。M240iとカマロには望めない価値だが、パーソナル感ならA45Sに負けない。

【Specification】BMW M240i xDriveクーペ
■全長×全幅×全高=4560×1825×1405mm
■ホイールベース=2740mm
■車両重量=1710kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2997cc
■最高出力=387ps(285kW)/5800rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1800-5000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/40R19:255/40R19
■車両本体価格(税込)=7,580,000円

【Specification】シボレー・カマロSS
■全長×全幅×全高=4780×1900×1340mm
■ホイールベース=2810mm
■車両重量=1710kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V/6168cc
■最高出力=453ps(333kW)/5700rpm
■最大トルク=617Nm(62.9kg-m)/4600rpm
■トランスミッション=10速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/40ZR20:275/35ZR20
■車両本体価格(税込)=7,280,000円

【Specification】メルセデスベンツA45 S 4MATIC+
■全長×全幅×全高=4445×1850×1410mm
■ホイールベース=2730mm
■車両重量=1670kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1991cc
■最高出力=421ps(310kW)/6750rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/5000-5250rpm
■トランスミッション=8速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35ZR19:245/35ZR19
■車両本体価格(税込)=8,530,000円

BMW2シリーズクーペ公式サイト

シボレー・カマロ公式サイト

メルセデスベンツA45S公式サイト

フォト=宮越孝政/T.Miyakoshi ルボラン2022年7月号より転載

■関連記事

萩原秀輝
AUTHOR

関連記事

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

関連中古車物件情報

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!