【比較試乗・EV編】「メルセデス・ベンツEQC×BMW i3×アウディe-tronスポーツバック」出揃った各ブランドのBEVモデル。モビリティの新しい夜明け。

個性の出し方はまさに三者三様

メルセデス・ベンツEQCは確かに重量感があるのだけれど、それは多分意図的にそうしているのだろうと踏んでいる。特に、スロットルはないけどスロットルペダルを踏み込むと、ほんの一瞬の間があってからジワジワと強力なトルクが湧いてくるような所作は、ひと昔前のメルセデス(W124とかW126)にそっくりだ。これを持ってして、メルセデスらしい走りというものを表現しているのだろう。

メルセデス・ベンツ EQC400

【Specification】■全長×全幅×全高=4770×1925×1625mm■ホイールベース=2875mm■車両重量=2500kg■最高出力=408ps(300kW)■最大トルク=765Nm(78.0kg-m)■トランスミッション=1速固定式■バッテリー種類=リチウムイオン電池■サスペンション(F:R)=ウイッシュボーン:ウイッシュボーン■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=235/50R20:255/45R20■車両本体価格(税込)=10,800,000円

もちろん、e-tronと同じ最高出力に約100Nm増しの最大トルクで60kg軽いのだから、実際に重ったるくて鈍重なわけではない。クルマがいったん動きだせば、EV特有の浮遊感を伴う強烈な加速力を発揮する。e-tronは通常、主にリアに駆動力を寄せているが、EQCはフロント優先のFFのような駆動力配分である。しかし、後輪にも思った以上に頻繁に駆動力が与えられるので、前輪駆動のSUVに乗っている印象は薄い。

販売方法も新時代的
先進性だけでなく、メルセデス・ベンツの特徴である安全性、操縦安定性、快適性など高いレベルで実現。パドルシフトで簡単に回生ブレーキの利き具合を設定できる。最大航続距離は400km。販売はオンラインストアのみとなる。

パドルを使って回生ブレーキの強弱を調整できる手法は他のEVと同じだが、ワンペダルで運転できるくらいに回生ブレーキの効きを強くしても、完全停止には至らない。「クルマを完全に止めるのはドライバーの責任」というメルセデスのポリシーがそこにはある。ちなみに通常モードによる回生ブレーキのフィーリングは、メルセデスの機械式ブレーキによく似ている。ブレーキペダルを踏み込むと制動力がモワッと立ち上がり、ペダルを戻しながらちょうどいい塩梅にコントロールできるようになっている。

バッテリーを大量に積んで2トンを超える重量は避けられないEVの欠点を逆手にとって、重量感を重厚感に変えてメルセデスの味としたセンスはさすがである。

BMWはつい先日、次世代EVとして「iX」を発表。EV専用のアーキテクチュアをセダンとSUVの2タイプ用意すると伝えられた。アウディやメルセデスが既存のプラットフォームを使ってEVを仕立てたのに対して、BMWはi8もi3もそして新しいEVシリーズも専用のプラットフォームにこだわる。

BMW i3 レンジエクステンダー

【Specification】■全長×全幅×全高=4020×1775×1550mm■ホイールベース=2570mm■車両重量=1440㎏■エンジン種類/排気量=直2DOHC8V/647㏄■エンジン最高出力=38ps(28kW)/5000rpm■最大トルク=56Nm(5.7kg-m)/4500rpm■モーター最高出力=170ps(125kW)/5200rpm■モーター最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/100-4800rpm■バッテリー種類=リチウムイオン電池■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク■タイヤサイズ(F:R)=155/70R19:175/60R19■車両本体価格(税込)=6,080,000円

本来、EVとはそうあるべきだと個人的には思っている。エンジンとトランスミッションという大きく重く振動して熱も発する塊を積まなくていいのだから、パッケージの自由度が広がると考えるからだ。そのお手本ともいうべきモデルがi3だろう。

輸入車コンパクトEVのパイオニア
専用のカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製のパッセンジャーセルを採用したBMW初の量産ピュアEVモデル。試乗車は発電用のエンジンを搭載したレンジエクステンダーモデルで、航続距離は最大で466km。

極端に短いボンネットと前後のオーバーハングにより、外は小さく中は広いボディを構築した。RRの駆動形式により、「前輪は操舵、後輪を駆動」というBMWの基本哲学もきちんと反映されている。そして何よりよく曲がるその身のこなしは、BMW以外の何物でもない。

EVもいよいよ、個性で勝負する時代に本格的に突入したのだ。

【PERSONAL CHOICE】BMW i3 RANGE EXTENDER

この1台ですべてがこなせる

現状の日本の充電インフラを考慮すると、EV1台ですべてをこなそうとするのは勇気がいる。そこで内燃機を長距離用、EVを街乗り用と2台持つ決断をすればスッキリするし、そうなるとi3の一択にしかならない。

リポート:渡辺慎太郎/フォト:郡 大二郎 ルボラン2021年2月号より転載

■関連記事

関連記事

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!