ファミリーならGLBスポーティさならディスコ
ディスカバリースポーツは最大トルク430Nmと頼もしく、Cセグメントとしてはヘビー級の車重が負担になることもない。9速ATをDに保つと早めのタイミングでシフトアップが繰り返され、60km/h以下で7速に入る。そのため、発進時以外は1000rpm台の前半で事足りる。
しかも、ATをマニュアル操作して2000rpm以上を維持すると、アクセルを踏めば即応して刺激的な加速を開始する。そのままアクセルを踏み続けると最高出力は180psに達するだけに、高速道路の本線合流では4000rpmオーバーまで伸びのある加速を楽しませてくれる。
本線に入ってからは、95km/hを超えると9速に入る。制限速度以上にならないと8速のままということもなかった。9速100km/hで1500rpmとなる。
エンジン回転数はGLBも同じであり、両モデルともに一定速ならエンジン音が耳に届くことはない。ザラついた路面を通過する際に聞こえるロードノイズは音量が抑えられ、響くことがない音質としてもスッキリしていた。
とくに、ディスカバリースポーツはデビューこそ2014年と時間経過が長いが、2020年モデルはマイナーチェンジを実施。フェイスリフトに加えプラットフォームまで進化し、遮音性と制振性を改善し従来モデルと比べ静粛性が大幅に向上している。
サスペンションも進化し、ストロークが一段とスムーズになっている。路面のうねりを通過すると縦に揺れるのかと思うのもつかの間、ダンパーがボディの余計な動きをスッと減衰。ロールも適度であり、アングルがどんどん進行することがなくハンドリングの正確さを際立たせることに役立つ。
ただ、ステアリングの手応えが人工的で操舵力というより反力が強めに感じる。直進時も、節度というよりも中立付近を重めにしているのでステアリングの切れ味はよりスッキリさせたいところだ。
ブランニューモデルだけあり、GLBは快適な乗り心地を提供してくれる。メルセデス・ベンツのSUVは、荒れた路面で左右のタイヤにバラバラな振動が入る場面で直進状態でもボディが横に揺れるヘッドトスが気になりがちなのにそれが改善されている。
なおかつ、軽いとはいえない大径タイヤを履きながら、いかにもバネ下が重そうなドタドタというインパクトノイズを発することもない。衝撃の減衰も最適化され、ボディに振動が残らないことも快適な乗り心地に結びつく。ステアリングの切れ味もスムーズなだけに、ハンドリングの素直さが実感しやすい。試乗時はウェット路面であったにもかかわらず、ニュートラルな挙動を守るのでスタビリティにおいても好印象となる。
両モデルは、3列シートによりCセグメンドのSUV人気に追い風を吹かしそうだ。GLBは、ファミリーSUVとして主役になれる実力がある。ディスカバリースポーツは、走りの楽しさに加え洗練度にも磨きをかけてきた。
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