参戦マシンの開発で得た技術は、電動プロダクションモデルのさらなるパフォーマンスアップに活かす
11月30日、アウディは2022年から電動パワートレインを搭載したプロトタイプ車両で、ダカールラリーに参戦すると発表。ベールに包まれた参戦マシンのイメージビジュアルを公開した。
アウディAGのマルクス・ドゥスマン取締役会会長は、このたびの発表に際して次のようにコメントしている。
「モータースポーツへの取り組みは、アウディの戦略において不可欠なものであり、今後も続いていくでしょう。私たちは国際的にトップレベルのモータースポーツにおいて、ブランドスローガン「技術による先進」を示し続け、ロードカーの革新的な技術を開発したいと考えています。世界で最も過酷なラリーは、これを推進するための完璧なステージです」
幅広いカテゴリーで多くの成功を収めたアウディはラリーに戻り、モータースポーツにおけるブランドの新たな歴史の始まりを示した。1981年から、「アウディ・クワトロ」はラリーに革命をもたらした。今日ではラリーカーだけでなく、四輪駆動技術「クワトロ」が重要なスタンダードとなっている。電気駆動技術においても、「e-tron」の登場によって最もスポーティなプロダクションモデルの安全性を保証している。
2022年から参戦するダカールラリーには、強力な電動パワートレインが採用される。モーターは高電圧バッテリーと組み合わされ、エネルギーコンバーターによって運転しながら必要に応じて充電される。現在アウディが取り組んでいるのは、今後数年間で電動ドライブトレインとバッテリーの性能をさらに高めること。この開発プロセスで得た経験は、将来の量産モデルに活かされる。
2014年から参戦しているフォーミュラEで、アウディは輝かしい時実績を残している
このたびの発表により、アウディは世界で初めて内燃機関の代替ドライブコンセプトを搭載するラリーマシンの開発に取り組むことになる。これまでも、2012年にはル・マン24時間レースにハイブリッドレーシングカーで初勝利を達成。「R18 e-tronクワトロ」は世界で最も重要な耐久レースで3回連続無敗を維持するなど、電気駆動技術を用いたレースカーで輝かしい実績を残している。そして2014年以来、フォーミュラEへの参戦によって電動マシンによるレースでも成功。今年、アウディスポーツABTシェフラーチームは、フォーミュラEの歴史のなかで最も成功したエントラントとなり、12回の勝利を含む合計43回の表彰台を獲得している。
「フォーミュラEへの参戦は、アウディの大きなターニングポイントとなりました。今日、“フォーリングス”のバッジを付ける電気自動車は夢ではなく、現実のものとなりました。私たちは最も過酷なレースに挑戦することで、電動モータースポーツの次のステップを踏み出します。ダカールラリーへの参戦は完璧な技術ラボとなるでしょう」(ドゥスマン会長)
この計画とともにアウディは、デイトナ24時間レースやル・マン24時間レースに、新しいプロトタイプカテゴリーとなる「LMDh」クラス(LMP2マシンをベースにKERS=エネルギー回生システムを搭載する)で参入する準備も進めている。