【比較試乗】BEVとMパフォーマンスモデルが現る。どのパワートレインでも駆けぬける歓びを実現!「BMW iX2 xDrive30 M SPORT vs X2 M35i xDrive」

全ての画像を見る

第2世代となったコンパクトSUVのX2は、より個性的で、よりスポーティかつ先進的なモデルに生まれ変わった。今回はBEVのiX2 xDrive30 Mスポーツと高性能モデルのX2 M35i xDriveが上陸を果たしたので、その実力をお届けしよう。

よりスポーティに進化したコンパクトSUVクーペ

フルモデルチェンジにより2代目に生まれ変わったX2。その変貌ぶりには驚くばかりだ。

BMW X2 M35i xDrive/高性能モデルのX2 M35i xDriveはアダプティブMサスペンションをはじめ、M専用のシャシーテクノロジーを採用する。駆動方式は4WDの「xDrive」で、0→100km加速は5.4秒。旧型にあったCピラーのBMWロゴは廃止された。

BMWではクーペスタイルのSUVをSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼び、モデル名を“X+偶数”としているのはご存じのとおり。X2はシリーズ中もっともコンパクトなSUVクーペということになるが、初代がクーペというよりハッチバックに近いデザインだったのに対して、この新型はクーペらしさを強めている。とくに、リアオーバーハングが延長され、伸びやかなファストバックスタイルにより、SACの呼び名にふさわしいフォルムを手に入れたのが、いちばんの見どころではないかと思う。

BMW X2 M35i xDrive/Mエアロダイナミクスパッケージ、20インチアルミホイール、デュアルエキゾーストテールパイプ、一体型ヘッドレストを備えたMスポーツシートを採用したM35i。キドニーグリルが光るアイコニックグローは標準装備。

そんな2代目X2がデビューしたのは、2023年10月に開催されたジャパンモビリティショー。日本をワールドプレミアの場所に選んだBMWの計らいがうれしかった。 その際、日本でのラインナップが発表され、2Lガソリンターボを搭載するX2 xDrive 20iMスポーツと、そのMパフォーマンスモデルであるX2 M35i xDriveに加えて、BEV(電気自動車)のiX2 xDrive 30Mスポーツの3グレードを設定。その中から今回は、X2 M35i xDriveとiX2 x Drive 30Mスポーツを引っ張り出す。

BMW X2 M35i xDrive

グリップタイプからフラットなデザインに変わったドアハンドルを引いて、まずはiX2の室内をのぞきこむと、明るい色使いのインテリアが印象的だ。ヴェガンザとよばれる合成皮革が用いられる、グレーとホワイトのツートーンのシートをはじめ、アルミパネルで彩られたダッシュボードや、スピーカーのアルミメッシュパネルなどが、上質さを漂わせている。

BMW X2 M35i xDrive

コクピットに目を向けると、いまやすっかりおなじみ、メーターパネルとセンターディスプレイが一体となったBMWカーブドディスプレイが、最新のBMWであることをアピールしている。センターコンソールにはシフトレバーの姿はなく、そのかわりにアームレストに小さいシフトスイッチを配置することですっきりとしたデザインにまとめらているのも、このクルマの見どころだ。

BMW X2 M35i xDrive

スタイリッシュなクーペだけに、そのぶん後席が狭いのではないかと心配していたが、ヘッドルーム、ニールームともに大人でも十分なスペースが確保されている。iX2の場合、床下にバッテリーを搭載するため、エンジン車のX2に比べて座面までの高さが少し低めだが、窮屈さを感じるほどではない。ラゲッジスペースは、奥行きが90cm強とボディサイズ相応の広さを確保。X2はフロアボード下に深さ20cmほどのスペースが用意されているのに対して、iX2ではその収納がほぼ省かれているが、それでも荷物を載せるには十分なスペースといえる。

BMW X2 M35i xDrive

BMW X2 M35i xDrive

どのパワーユニットでも楽しい走りを実現

気になったのが、後方視界の悪さ。太いリアピラーのせいで斜め後ろが見にくいのに加えて、リアウインドー越しの後方も低い位置が見にくいのだ。もちろん、サラウンドビューシステムによってクルマの周辺は確認できるのだが、モニターを使わずに見えるほうが断然安心である。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ

iX2は最高出力190psの電気モーターを前後に1基ずつ搭載することで4WDを構成し、システム最高出力306ps、システム最大トルク494Nmを発揮する。Dレンジを選んでブレーキペダルから足を離すと、クルマはゆっくりとクリープを始める。ここでアクセルペダルを軽く踏むと、スムーズかつ穏やかに加速を始める。さらにアクセルペダルを踏み増せば、2070kgのボディを軽々と加速させるほど余裕がある。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ/インテリアは基本的にX1/iX1と共通。X1から進化した点としては、Androidベースの最新OSである「BMWオペレーティングシステム9」を搭載する。

速道路の合流地点めがけてフル加速を試みると、シートバックに背中が押しつけられるほどの勢い。ステアリングホイールの左にあるパドルを操作してブースト機能を起動すれば、一段と鋭い加速が味わえる。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ/ラゲッジスペースは、iX2が525L(最大1400L)、X2は560L(同1470L)。

そのうえ、このiX2はBEVならではの低重心を生かした安定した挙動と、見た目から想像する以上に軽快なハンドリングにより、スポーティな走りが楽しめるのがBWMらしいところだ。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ

これに輪をかけて走りが楽しいのがX2 M35i。ブルーのマットペイントが施されたX2のドアを開けた瞬間、視界に飛び込むヘッドレスト一体型のMスポーツシートや、12時の位置にレッドのトップマーカーが配されたステアリングホイール、さまざまな場所に施されるブルーのステッチなどが、気持ちを高ぶらせる。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ

それ以上にエキサイティングなのがボンネット下に潜むエンジン。2Lガソリンターボは最高出力317psを誇り、7速DCTを介して4輪を駆動する。スペック表によれば2000rpmから最大トルクの400Nmを発揮するというが、それよりも低い回転域でもトルク豊かで、動き出しから力強さが感じ取れるほど。それだけに、アクセルペダルに載せた右足に力をこめればトルクが溢れ出し、2000rpmを境に一気に力強さが増してくる。

BMW iX2 xDrive30iは306ps/494Nmを発揮し、0→100km/h加速は5.6秒をマーク。

SPORTモードに切り替えるとさらにレスポンスは鋭くなり、4000rpmを超えたあたりから一気にレブリミットまで豪快に吹け上がる感じがたまらなく気持ちが良い。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ

iX2に比べて約300kg軽いX2 M35iだけに、その走りは実に痛快。コーナーではしっかりとロールが抑えられ、俊敏なハンドリングを発揮。アイポイントが少し高めであることを忘れれば、まさにスポーツクーペの感覚でドライビングが楽しめるのだ。しかもこのX2 M35i、低速では路面からのショックを拾いがちだが、スピードがあがるにつれて挙動が落ち着き、サスペンションの動きもしなやかに思えるほどで、硬めの乗り心地にも不快さはない。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ

BEVでもエンジン車でも駆けぬける歓びが堪能できるX2。旧型以上に明確になったキャラクターとあいまって、今後、プレミアムコンパクトSUVセグメントで存在感を強めるのは必至だろう。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ/一充電走行可能距離(WLTCモード)は460km。

BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ/ホイールはダブルスポーク・スタイリング871Mを装着し、タイヤサイズは前後245/45R19となる。

【SPECIFICATION】BMW X2 M35i xDrive
■車両本体価格(税込)=8,100,000円
■全長×全幅×全高=4565×1845×1575mm
■ホイールベース=2690mm
■トレッド=前:1585、後:1585mm
■車両重量=1710kg
■エンジン形式/種類=B48A20H/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1998cc
■最高出力=317ps(233kW)/5750rpm
■最大トルク=400Nm(40.0kg-m)/2000-4500rpm
■燃料タンク容量=54L(プレミアム)
■燃費 km/L=12.2km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/40R20

【SPECIFICATION】BMW iX2 xDrive30 Mスポーツ
■車両本体価格(税込)=7,420,000円
■全長×全幅×全高=4555×1845×1565mm
■ホイールベース=2690mm
■トレッド=前後:1585mm
■車両重量=2050kg
■モーター形式/種類=HB0001N0(前):HB0002N0(後)/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:190ps(140kW)/8000rpm、後:190ps(140kW)/8000rpm
■モーター最大トルク=前:247Nm(25.2kg-m)/0-4900rpm、後:247Nm(25.2kg-m)/0-4900rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=66.5kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=460km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/45R19

問い合わせ先=BMWジャパン 0120-269-437

フォト=郡 大二郎 ルボラン2024年10月号より転載

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!