“次世代”に入った新しいGTI
結論を急ごう。
ゴルフⅤのGTIは、果たしてフォルクスワーゲンが目論んだように、初期のGTIに回帰し得ただろうか。
ハード面ではなし得たと思う。FFでは限界に近いと思われる片輪100psを見事にコントロールして、極上といえるハンドリングを実現しているし、それでいて乗り心地も不満のないレベルに仕上げている。この点については、本当に高く評価できる。工業製品としての仕上がりは、これ以上を求めるのが現段階、ムリであるようなところまできていると思う。
ただ、残念ながら、初代にあった圧倒的な存在感は持ち合わせていない。サムシングはあるが、ヒエラルキーを打ち破るような強烈なエネルギーまでは感じられない。もう、ゴルフ自体、スタンスがあの時代とは完全に異なり、コンパクトカーといえど、かなりの高級車になっているからだ。正直にいうと、どちらかといえば体制側にあるような、である。
さりとて、フォルクスワーゲンの目指した初期の頃のGTIへの回帰は、不成功に終わったとも考えていない。それどころか、回帰することで、結果的に“スーパーハッチ”とでも呼ぶべき新しいジャンルを切り開いたように思われる。その回帰は、新しい世界の創造に繋がっていたのである。
GTIは5代目にして、次元が完全に異なる“次世代”に入ったのではないだろうか。
【specification】
GOLF GTI(6MT) ※[ ]内はDSG
■全長×全幅×全高=4216×1759×1466mm
■ホイールベース=2578
■トレッド(前/後)=1539/1528mm
■車両重量=1372[1391]kg
■最小回転半径=5.45m
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=-/直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=82.5×92.8mm
■総排気量=1984cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=200ps(147kW)/5100rpm
■最大トルク=28.5kg-m(280Nm)/1800-5000rpm
■燃料タンク容量=55L(プレミアム)
■ミッション形式=6MT[6DSG]
■変速比=(1)3.36[3.46](2)2.09[2.15](3)1.47[1.46](4)1.10[1.08](5)0.87[0.85](6)0.73[0.71](R)3.12[3.08](F)3.94[4.06]
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前Vディスク/後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=225/45R17(7.5J)
リポート:小倉正樹/フォト:フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン
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