来たるべきゼロエミッション時代を先取り! いま選ぶべき「ピュアEV」はどれだ?

小野泰治
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いまや内燃機関のクルマであっても、電動アシストが当たり前の時代。世界的に見れば、それはゼロエミッション化へのニーズが急速に高まっていることの裏返しなわけだが、そのソリューションとして現状でもっとも有望視されてるのがピュアEV。では、遠からず主流となるEVで、いま選ぶべきモデルは? ここでは輸入モデルから答えを探ってみよう。

すでに乗り手の嗜好に応じたチョイスが可能!

いま選ぶべきEVはどれか? という話の前に、まずは現在の環境下でEVを所有することに向いているユーザー像を考えてみたい。大雑把にいえば、その条件はふたつ。ひとつは、1回あたりの走行距離が長くない人だ。近年のEVは、搭載するバッテリーの大容量化が著しく、満充電あたりの航続距離は格段に伸びた。だが、内燃機関と同等かといえば答えはいわずもがな。エコランを前提とするならいざ知らず、ごく普通の使い方をすれば大容量バッテリーを備えたモデルでも300km台というのが無理のない水準になる。

MERCEDES-BENZ EQC

また、日本の充電インフラでは出先で急速充電施設を活用してもバッテリーを満充電近くまで回復させることが容易ではない。今後日本でも海外と同じく、大出力の急速充電施設が増えれば利便性は上がるはずだが、たとえば1日で一気に400〜500kmを走るような人にEVは向かないのだ。

MERCEDES-BENZ EQC

条件のふたつめは、内燃機関のクルマで醸成されてきた使用上の常識を変えられる人。たとえば、出先で燃料が心許なくなった場合、大半の人は給油場所で「満タン」を指定するだろう。だが、EVの場合は急速充電器だと80%までが基本。これは充電を受けるクルマ側の機械的負担を抑える目的で取られた措置だが、それ以前に充電量がMAXに近づくほど充電効率が加速度的に悪化するというEVの特性も関係している。その意味で、最初の条件も合わせて考えると、EVに向いている人は1日あたりの走行距離がバッテリーを使い切る範囲内にとどまる人、なおかつ長距離を移動する場合は計画的にバッテリー残量を管理できる人ということになる。
……と、こう書くと現状のEVはひどく面倒な存在だと考える人も出てくるだろう。実際、ホンネをいえば筆者も内燃機関のクルマとまったく同じ利便性を期待する人にEVは勧めない。とりあえず、クルマ側の性能向上に追いついていない国内インフラが整うまで、電動モデルはプラグインHVあたりまでにとどめておくのが選択としては合理的だとも思う。

BMW i3

しかし、視点を変えればもはやEV所有に関するハードルは前述の2点程度。自宅、もしくは周辺に充電環境さえ整っていればEVとの生活は決して“苦行”の類ではなくなっているのもまた事実。加えて、純粋な電気駆動モデルがもたらす走りは、クルマに並みならぬ関心を持つ人にとって新鮮であることも間違いない。今後、遠からず電動化が主流となる時代に先駆けEVユーザーとなる優越を味わうことも、マニア的には意味ある行為といえるはずだ。

BMW i3

さて、そんな視点で現状を見回すと、輸入EVについては乗り手の嗜好に応じた選択がすでに可能な品揃えになっている。たとえば、電気駆動ならではの滑らかな加速や静粛性に加え、走りの高級感を重視するならメルセデス・ベンツEQCがその筆頭に挙げられる。駆動系だけなく操舵、足回りの仕立てまで含め、すべてにおいて高い質感を実現しているEQCは、まさにメルセデスのEVであることを実感させる。ボディがSUVなので室内空間を含めた実用性も上々、なおかついまどきの選択肢としてもポイントは高い。

TESLA MODEL X

純粋なクルマとしての実用性、という点なら輸入EVでは古株となるBMW i3が一番手堅い。最新バージョンであれば、純EV仕様でも最大航続距離は360kmを確保。それでも不安なら、発電用エンジンが備わるレンジエクステンダー版を選べば、 「電欠」のリスクはゼロにできる。後述するテスラを例外とすれば、内外装のデザインが個性的なi3は近未来のクルマを意識させる“ハレ”の要素も頭抜けている。

TESLA MODEL S

一方、走りの愉しさを重視するなら狙い目はジャガーIペイスだ。SUVとクーペのクロスオーバー的キャラクターがその特長となるが、スポーティなハンドリングは内燃機関のジャガーに慣れ親しんだマニアでも納得できるはず。ややボディは大柄だが、それだけに室内の使い勝手は秀逸でファーストカーの資質は高い。

JAGUAR I-PACE

だが、何よりもEVであること、そして時代を先取りする選択であることを重視するなら個人的にはテスラの各モデルをお勧めしたい。正直、質感や味付けなどクルマとしての出来映えについては注文を付けたいところが多々ある。だが、インターフェイスを筆頭に伝統的なクルマの価値観とはベクトルが異なる「テスラ・ワールド」は、そうした欠点を補ってあまりあるほどに新鮮なことも事実。まもなくポルシェ・タイカンやアウディeトロン・クワトロなど、一層の選択肢増加が見込まれる輸入EV界において、 「いま選ぶ」のであれば、やはり重視するべきは新鮮味であると思うのだ。

フォト=宮門秀行/H.Miyakada、河野敦樹/A.Kawano、小林俊樹/T.Kobayashi、郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年7月号より転載

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