合計で約302psを発揮する2基のモーターと、82kWhのバッテリーを搭載。航続距離は最高で500km以上
7月7日、アウディはクーペSUVのEVコンセプトモデル「Q4スポーツバックe-tronコンセプト」を発表した。市販モデルは2021年から生産がはじまる予定だ。
このコンセプトカーは、2019年のジュネーブ・ショーで公開されたアウディ初のコンパクト電動SUV「Q4 e-tron」をベースにクーペスタイルを採用した派生型でダイナミックでエレガントなスタイルが特徴。ボディサイズは全長4.6×全幅1.9×全高1.6mで、ホイールベースは2.77m。Q4 e-tronより10mm長く、10mm低いディメンションの持ち主だ。
パワーユニットの基本はQ4 e-tronと共有しており、システム出力225kW(約302ps)を発揮する2基のモーターと、総電力量82kWhのバッテリーを搭載。駆動方式は後輪駆動仕様と「クワトロ」による四輪駆動を設定。クワトロ仕様の場合、6.3秒の0-100km/h加速タイムと180km/h(リミッター介入)の最高速を実現する。その一方で、航続距離はクワトロ仕様で450km以上、後輪駆動仕様では500kmを超えるという。
ボディシルエットは、繊細かつダイナミックな弧を描きながら、後方に向かって傾斜。ルーフラインは大きく傾斜したDピラーへと流れこみ、リヤのリップスポイラーへと伸びていく。その結果、Q4スポーツバックの全長は、姉妹モデルのQ4 e-tronよりも長く見える。
アウディ初の電気自動車「アウディe-tron」と同様に、この新しいコンセプトモデルも8角形のシングルフレームグリルを備えている。内燃機関のようなラジエーターは備えないため、グリルの表面は閉じた構造だ。
デザインは、e-tronスポーツバックと様々な面で共通点が見られる。これは、ライトの内部構造にもあてはまる。複数のLEDセグメントに分割されたテールライトも、上位モデルとの関連性をもたらす。水平バーを備えたバンパーディフューザーユニットの印象的なデザインおよび中央に設置された照明付きe-tronロゴは、ふたつのQ4バージョンに共通するエレメントだ。
左右のリヤランプ間を結ぶ印象的な幅広いライトバンドも特徴のひとつ。これにより、これらのふたつのモデルが同じe-tronファミリーに属していることを、ひと目で認識することができる。
4つのホイールの存在をデザイン的に強調するフェンダーは、1980年に登場した伝説的な初代「クワトロ」以来、アウディデザインを象徴する役割を果たしている。Q4 e-tronコンセプトおよびQ4スポーツバックe-tronコンセプトのワイドなフェンダーは、非常に有機的で流れるようなデザインを備え、サイドビューに豊かな表情を加えている。
前後ホイール間のサイドシルエリアに設置されたアクセントは、この電動SUVのパワーユニットであるバッテリーがこの場所に搭載されていることを示すもので、e-tronの特徴となっている。22インチの大径ホイールは、アウディファミリーに加わった最新モデルの卓越したポテンシャルを示す重要な要素だ。
コンパクトクラスながら広々とした室内を実現している点もこのモデルの特徴。コンパクトなディメンションとは対照的に、2.77mのホイールベースは、1クラス上のモデルの室内スペースの実現に寄与。室内にスペースを制限するトランスミッショントンネルが存在しないのは電気自動車の利点のひとつ。これにより、フロントおよびリヤシートの両方で、外観から想像するよりもはるかに広いスペースと快適性が与えられている。
速度や充電レベル、ナビゲーションといった最も重要な情報を表示するバーチャルコックピットは、ステアリングホイールの後方に設置。拡張現実(AR)機能を備えた大型ヘッドアップディスプレイは、このクルマの新しい機能だ。このディスプレイは、ターンインジケーターなどの重要なグラフィック情報を、車両前方の道路上に浮かんでいるように投影することができる。
タッチエレメントを使用したステアリングホイールの操作パネルでは、頻繁に使用する機能を割り当てることができる。センターコンソールの中央部分には、インフォテインメントおよび車両の機能を表示・操作するための12.3インチタッチスクリーンが設置されている。
センターコンソールは、シフトレバーやパーキングブレーキレバーを設置する必要がないため、携帯電話用の充電クレードルを含む、広い収納スペースとなっている。美しくデザインされたトレイのような部分には、トランスミッションのモードを選択するためのボタンが一体化されている。
2018年9月に電気自動車のSUVモデル「Audi e-tron」を世界初公開して電動化攻勢を開始したアウディは、2025年までに全世界の主要な市場において、20以上の電気自動車を発売して、電動化モデルの販売台数を全体の約40%にすることを目指している。電動化ラインアップにおけるSUVには、「e-tron」や「e-tron Sportback」が含まれている。そしてさらに、アバントやスポーツバックといった従来型のボディを備えたモデルも導入される見込み。今後のラインナップは、コンパクトクラスからラグジュアリークラスにいたるまで、あらゆる市場セグメントを網羅する予定とのことだ。