BMW Mのトップを直撃! 新世代「M」が向かう次なるステージは?
BMW M社はマルクス・フラッシュ氏を新社長に選出した。1980年にオーストリア・ザルツブルグで生まれた彼は、2003年にマグナへ入社、その後BMWヘ移籍、ロールス・ロイスなどアッパークラスの品質管理を担当した後に、8シリーズの主査を担当。そして2018年10月、前任のフランク・ファン・メール氏に代わってM社の社長に選出される。38歳の彼はM社歴代プレジデントの中でもっとも若い。
今回のインタビューは北米での国際試乗会において本誌独占で実現したものだ。
歴代で最も若いプレジデントは高性能M版PHEVを推進する
――M社創立以来歴代で最もお若い社長ですが就任に際して、何か特別なコンセプトをお考えでしょうか?
フラッシュ「M社はBMWのハイパフォーマンスモデル工房として長い歴史と伝統を確立しています。私はまず、この現実を再認識し、学び、そして継承する立場にあります。その上で、将来に対する道を切り拓いて行こうと考えています」
――X3M/X4MにM社の高性能モデル専用の直列6気筒エンジンが新採用されました。その特徴を教えてください。
フラッシュ「このエンジンはスタンダードな3ℓ直6ツインスクロール・ターボとはまったく別物で、シリンダーピッチ以外ほとんど共通点がない新設計です。たとえば正確な排気量はスタンダード版の2998㏄に対してM専用は2993㏄です。ショートストロークの高回転タイプで最高許容回転数は7200rpmに達します」
――確かに素晴らしいスポーツエンジンであることはサーキットで体験しました。次期M3/M4はSUVよりも軽く、空力も良いはずです。その新エンジンのチューンはどのレベルになるのでしょうか?
フラッシュ「それはいまのところお応えできませんね(笑)」
――新型のM135iには306馬力の2L4気筒ターボが搭載されていますが、これからは6気筒に代わってダウンサイジング4気筒が主役になるのでしょうか?
フラッシュ「現在ドイツ・ツーリングカー選手権に参戦しているM4のエンジンは4気筒です。またルーツである1986年の初代M3(E30)も4気筒でした。そしておっしゃる通り新型1シリーズのMパフォーマンスモデルも4気筒を採用しました」
――もし仮にコンパクト系のMモデルが登場した場合には、4気筒の可能性もあるということでしょうか?
フラッシュ「それも秘密です(笑)」
――BMW M社に期待したいのですが、まずはCO2排出量削減のための電化の推進と独自のスーパースポーツカーの復活、端的に言えばM1の再来はあり得ますか?
フラッシュ「まず、電化は重要な課題です。BMWは他社に先駆けて“iコンセプト”を進めてきました。CO2排出量削減にはバッテリーと電気モーターそして内燃機関という3つの要素が残されており、スポーツカーの分野ではそれによる“重量増”が常に大きな課題となっています。しかし、それを解決できる技術的な見通しもついているので、間もなく皆さんの前に具体的な提案ができると思います」
フラッシュ氏は約束通り、#NEXTGenにおいてビジョンMネクストを公開。600馬力のPHEVスーパースポーツは2025年の市販化を視野に開発が進められている。
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