【国内試乗】「アルファ・ロメオ GIULIA 2.2 TURBO DIESEL SUPER」新世代ディーゼルの進化と真価!

320dの新エンジンは2ステージターボを採用

BMWも、ドライバーへの誘いかけが巧みだ。新型3シリーズに追加された320dは低圧ターボと高圧ターボを直列で組み合わせる新開発の2Lエンジンを搭載する。そのため、幅広い回転域で最適なエンジン特性が獲得可能だ。実際に、アクセルを踏み込むと1500rpmから明らかなトルクの盛り上がり感があり、3500rpmを超えるとエンジンの鼓動にコーンという感じの吸気音が重なり聴覚を刺激してくる。

それだけに、アクセルを踏み続けその先を確かめてみたくなる。誘われるままに右足でペダルを床に押しつけ8速ATをマニュアル操作すると、タコメーターの針がゼブラゾーンが始まる5000rpmを指すまでブン回すことさえできる。従来型の320dが積むディーゼルでは、ここまでの刺激は望めなかった。
なおかつ、試乗車はMスポーツだったのでかなり引き締まったサスペンションを装備する。路面が荒れているとスプリングが硬く感じることもあるが、ダンパーのストロークはスムーズ。そのため、ゴツゴツはしていても不快な突き上げ感には結びつかない。こうした設定が、コーナリングではステアリング操作に対するダイレクトな応答性をもたらす。コーナー進入時に素早く大きく切り込めば、その通りにノーズがズバッという感じで向きを変え快感を呼ぶ。4WDシステムのxDriveを組み合わせるにもかかわらず前後重量配分は完全な50:50となり慣性モーメントが抑えられ、フロントへの駆動力配分も最少化されているだけにタイヤの旋回力がシッカリ確保できるからだ。
ジャガーXEは、日本市場への導入以来5年を迎えつつある。ところが、マイナーチェンジ直前のモデルであったにもかかわらず時間の経過をまったく感じさせず完成度に磨きをかけている。AWDシステムを組み合わせるものの、ステアリングの切れ味は超スムーズでありフロントに配分される駆動力の影響も受けていない。
サスペンションもスムーズに動き、荒れた路面を通過しても衝撃の角を削り落すような“いなし”方をする。ボディの剛性感が、デビュー当初より高くなったのではと思えるほどだ。そのため、ゴーッという感じのロードノイズを最小限に抑え込み、室内に響くことがないので走りの質感が高まる。
ジャガー・ランドローバーが自社開発しイギリスで生産する2Lのインジニウムエンジンは、周囲の流れに合わせながら加速しても8速ATを低回転域でシフトアップさせつつ、トルクの充実ぶりを実感させてくれる。こうした場面で振動が認められず、エンジン音も耳に届かない。また、停止時にアイドリングストップした後の再始動でも、ディーゼルで不満になりがちなブルッという振動を気にならない程度に抑制している。それでいて、アクセルを踏み込めば、走行モードがダイナミックならDレンジのままでも4200rpmまで引っ張れるので伸びのある加速が楽しめる。ATをマニュアル操作すれば、トップエンドで硬質なエンジン音が重なるものの低いギアなら4800rpmまで一気に吹け上がる。最高出力は同行モデルでは控えめだが、数値ほどの差を意識せずに済む。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2019年9月号より転載

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萩原秀輝
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