「予測」して乗り心地と安全性をさらに高める
7月18日、アウディは先進技術を導入したアクティブサスペンションシステム「プレディクティブ・アクティブサスペンション」を開発、フラッグシップサルーンの「A8」に導入したことを発表した。ドイツおよび欧州市場ではガソリンエンジン搭載車で注文受け付けが開始され、このアクティブサスペンション搭載に対する追加費用は5450ユーロ(約66万円)という。
プレディクティブとは「予測する」という意味。このアクティブサスペンションは、車載カメラから得る自社周辺の路面状況を識別し、その凸凹などに応じてあらかじめサスペンションの設定を自動で調整。あらゆる路面状況で積極的に乗り心地を高めるという、革新技術が導入されている。
エアサスペンションは4輪それぞれに電動アクチュエーターが組み合わされ、それぞれのホイールの位置(高さ)を個別に調整することが可能で、10分の5秒以内に最大85mm上げ下げすることができる。
設定モードは「ダイナミック」から「コンフォートプラス」まで、複数のモードを設定。「ダイナミック」では積極的にスポーツドライビングするときに高いハンドリング性能を発揮する。横方向の重力加速度が1Gで旋回するとき、標準装備のサスペンションでは車体の傾きを示すロール角が5度以上になるのに対して、このアクティブサスペンションでは2度に制御。ハンドリング特性としてはニュートラルからオーバーステアの範囲に設定され、安定した“オン・ザ・レール”のコーナリングが堪能できる。
一方、「コンフォートプラス」では、コーナリング中に車体が沈み込む外側のサスペンションストロークを伸ばして車体を持ち上げ、キャビンを極力水平に保つ。これにより横方向の重力加速度を低減。ドリンクホルダーに入ったカップ入りコーヒーがこぼれないどころか、パッセンジャーは車両がコーナリングしていることにほとんど気づかないほど。これは車速が80〜130km/hの際に明確に効果が実感できるという。同社からはとくに明言されていないが、乗員はドライブ中に身体を揺すられたりすることが減るので、乗り物酔いも防げそうだ。
さらにこのプレディクティブ・アクティブサスペンションは、安全運転支援システム「プレセンス360°」と組み合わせることによって、受動的安全性も高める役割も果たす。たとえば、車速35km/h以上で側面衝突する場合、クルマが衝突を避けられないと判断すると車体を最大80mm上昇させて乗員への衝突ダメージを軽減する。側面衝突時に車体を上昇させることは衝突エネルギーを吸収するのに適しており、乗員へのダメージは標準サスペンション搭載車と比べて最大50%減少させられるという。
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