希少性の高さからくる満足感は、かなり高いはずだ
このスタイリングは、2016年の東京オートサロンで公開されて話題となった“S660ネオクラシックコンセプト”のデザインを、ほぼそのまま再現したもの。あえて分類するならボディキット装着車ということになるのだろうが、その構成は単純にキットだとかドレスアップパーツとはいい切れないほど大掛かりだ。何しろドアとソフトトップを除く全てのボディパネル、エクステリアパーツを交換することになるからだ。
けれど、さすがはメーカー系の仕事。外板パーツ全交換であるにも関わらず、それらは車検証の記載事項変更や構造変更検査が不要な箇所であるため、法的な手続きは一切不要。さらには寸法や重量などもオリジナルとほとんど変わらない。走らせてみて、ハンドリングも含めてひとつの違和感もなく“S660ってやっぱり楽しいな”と感じられたのは、だからなのだ。アフターマーケットのカスタマイズでは、こうはいかない。
ちなみにS660はボディパネルの交換を想定して作られているわけじゃないから、パーツ単体での販売はなく、ホンダのユーズドカーを扱うホンダユーテックの運営によるオートテラス城北(埼玉県)、オートテラス鈴鹿東(三重県)、オートテラス筑紫野(福岡県)のいずれかにS660を持ち込んでキットを組み込んでもらう必要がある。また、その3店舗だけで扱うキット組み込み済みの認定中古車を購入する、という方法で入手することもできる。
価格は未塗装のFRP製ボディパーツと灯火類で構成されるキットが129万6000円。さらに組み込み工賃と塗装代がおよそ80-90万円ほどだという。ベース車には別に200万円ほどの予算が必要になるわけだから、そういう意味ではハードルが低いとはいえないが、それでもこの何ともいえず優しく柔らかい独特の雰囲気や、同じクルマとはまずすれ違うことのない希少性が自分のものになる満足感は、かなり高いはず。都内を走らせて、とりわけ大人の男性と若い女性達の「おっ?」というような興味深げな視線が、ちょっと照れくさくはあったけれど??。
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