プジョーはディーゼルとサスペンションが得意
欧州車ではメーカーが異なってもディーゼルエンジンのパワーとトルクは同じものが多い。それは欧州各国の税制に関係し、馬力で税金が決まる制度があるからだ。日本は排気量だが、ターボやモーターの時代になると、そうした排気量神話や制度は古くなるだろう。
今回テストした2台は、プジョー308が180?でボルボV40が190?。トルクはともに400Nmを発生する。性能に影響するのはギアボックスで、ボルボはプレミアムブランドを目指しているので8速トルコンATを使うが、プジョーは実質主義でアイシン製の6速トルコンAT。日本では6速のほうがギアチェンジの頻度が少なく落ち着いて走ることができるので、必ずしも8速が偉いわけではない。
ところで、プジョーの強みは何? と聞かれると、デザインを除けば小型ディーゼルとサスペンションと答えたくなる。とくにダンパーへのこだわりは昔から高い。
一方、ボルボの強みはご想像通り安全性だ。3点式シートベルトを考案し、世界中のメーカーにパテントを公開した実績は尊敬できる。そしてその安全性は、衝突から予防安全にシフトしているので、今後の自動運転技術にもボルボの活躍は期待できる。だが、予防安全にはシャシー性能も含まれるので、ドライバーが安心して操縦できるダイナミクスを持っているかどうかが重要となる。その領域をテストするのが、DSTでもある。
高速周回路を使ったハイスピード・ドライビングにおける308の乗り心地は快適そのもので、ロードノイズが少なく非常に静かなのには驚いた。100-130km/hでクルージングすると、まるでひとつ上の車格の快適性を持っていると感じる。サスペンションはしなやかで、例えるなら動物のような足腰持っているという印象だ。とにかくダンパーチューンが絶妙なのである。
スポーツボタンを押すとステアフィールが少し重くなり、シフトタイミングも変わる。擬似的なエンジンサウンドも加わり、いかにもスポーティな演出となる。
対するボルボのディーゼルはよく回るタイプでスポーティだが、8速トルコンATはシフトアップしたときに一瞬コツンというショックが感じられた。このダイレクト感は好き嫌いがありそうだ。私の場合、節度感があって良いと感じている。クロスしたギアレシオなので、次々にシフトアップして加速するからDCTのような感じで小気味良い。エンジンで感じるままの印象を伝えるなら、ボルボの狙い通りのスポーティなプレミアムハッチという感じだ。
高速周回路では全体的に乗り心地は良いものの、130km/hぐらいでレーンチェンジするとステアリングに対してヨーイングがやや唐突に発生するので正直リニアとは言いがたい。プレミアムブランドから連想させる、もっとどっしりと安定したV40になって欲しい。ということで、V40は新しいプラットフォームに期待したい。
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