アウディとフォルクスワーゲンが最新の天然ガス仕様車を発売
日本ではLPガスのタクシーぐらいしかイメージできない状況だが、欧州では以前から天然ガスを燃料とするクルマが各メーカーから発売。ガソリンはもとより、ディーゼル車が使用する軽油より安価なことから(ドイツではガソリン比で40%、軽油に対しても約20%ほど天然ガスが安いとか)一定のシェアを築いているが、天然ガスはただ安価なだけではない。天然ガスは炭素の含有量が少ないため、CO2の排出量を既存の内燃機関よりも大幅に低減できることに加え、窒素酸化物や一酸化炭素の排出も少ない。また、植物由来なバイオメタンやグリーンエネルギーから生成できるeガスを利用すればエミッションレベルはさらに向上させることができる。その意味では、内燃機関ではあっても天然ガス仕様はエコカーとして十二分に通用するソリューションのひとつなのだ。
そんなメリットを反映して、欧州メーカーは天然ガス車のラインナップ拡充にも積極的だ。この3月にもアウディが「A3スポーツバックg-tron」を、フォルクスワーゲンは「ゴルフ・ヴァリアントTGI」をリリースしている。フォルクスワーゲンによると、ドイツでは2025年までに天然ガス仕様車は100万台に達すると予測されていて現在でも登録車は10万台。インフラも整備され、同じく‘25年には天然ガスを供給するステーションも2,000カ所に増えるという。実際、現状でもフォルクスワーゲンの天然ガス仕様は今回のゴルフ・ヴァリアントや「アップ!」、「ポロ」などを含め14モデルに達するという。
ベースを共有するA3とゴルフだけに、天然ガス仕様でも130㎰を発揮する1.5Lターボエンジンを筆頭とするハードウェアは共通項が多く、いずれも実用度は高い。リヤの荷室下、および後席下に配置された天然ガス用タンクによる航続距離は400km以上。別途で9Lのガソリンタンクもバッファーとして備わり、ゴルフの場合はこれだけでも航続距離は200km分に相当するとか。おそらく今後も日本ではあまり縁がなさそうな天然ガス仕様車だが内燃機関を引き続き使える、という意味ではクルマ好きの視点でも魅力的なエコカーといえそうだ。
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