ダイムラーが持ち株会社に
ダイムラーグループが2017年10月に発表していた再編計画の具体像が明らかになった。現在のメルセデス・ベンツ乗用車部門、トラック部門、バス部門、バン部門、ファイナンシャルサービス部門を一旦統合し、新たに3社の新会社を設立。ダイムラーは持ち株会社として存続させていくことになる。
持ち株会社の傘下に新たに設立されるのは乗用車とバンを担当する「メルセデス・ベンツAG」、トラックとバスを担当する「ダイムラートラックAG」、ファイナンシャルとモビリティサービスを担当する「ダイムラーモビリティAG」の3社。それぞれを独立させることで責任をより明確にし、スピーディな意志決定により競争力を高めていく構えだ。また、モビリティサービス部門を独立させることで、カーシェアリングやライドシェアなどの次世代モビリティへの対応も強化していくものと思われる。
この再編計画は「プロジェクト・フィーチャー」と呼ばれ、2019年5月の年次総会で株主の承認を受けて2020年初頭に実行、再編にともなう巨額な投資も予定されている。新体制のもと雇用も維持し、グループ全体で着実に進められていくことになる。
ダイムラーのディーター・ツェッチェ会長は「これまでにない時代の変化のなかで、ダイムラーは技術面でも文化的な面でもベストポジションに立つために組織改革を進めていく。新たな組織によってニーズに合わせたモビリティソリューションを提供することができる」と改革の有効性を述べている。
時代の変化への対応という面では、トヨタ自動車の豊田章男社長も「100年に一度という大変革の時代に直面し、モビリティカンパニーへの変革に挑戦する」と宣言しており、次世代のモビリティサービス事業への対応が、自動車メーカーにとって欠かせないという意識はダイムラーも共通している。さらに自動運転や環境対応といった次世代技術の開発競争で生き残るには、ドラスティックな組織改革や再編が必要という意識も強い。この再編が他のメーカーやサプライヤーとの提携など、世界を巻き込む動きとなっていくのか。今後の動きが注目される。
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