プラモの楽しさ横溢、レベルならではのキット
実車のメルセデス・ベンツSLS AMGについては、前編の記事(下の「関連記事」参照のこと)ですでに述べた。ここでご覧いただいている作品は、ドイツレベル製1/24スケール・プラモデルの同車のキットを制作したものだが、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の229号(2015年)に掲載された作品である。以下、そのときの作者(Ken-1氏)自身による解説をお読みいただこう。
【画像42枚】ボディ磨き出しから細部仕上げまで、注目の制作過程を見る!
「このSLS、フジミとドイツレベルからキット化されてますので、既に作られたという方も多いでしょう。さて今回僕が作ったのはレベルの方、エンジン/ガルウィングドア開閉と、フル再現が特徴のキットです。やはり海外キット、どこでも手に入るという訳ではありませんから、このキットの存在も知らない方は多いのでは?
実際のところ編集部の担当さんも忘れられていたようで、最初の依頼ではフジミベースにドアオープン/エンジン再現といったヘビーなお話だったのですが、素組みで行けるレベルのキットがあるのに一体何の嫌がらせですか!? これがいわゆるモデラー養成ギプスですか!? と思ったものです(笑)。でも実は僕、海外キット初挑戦だったりしますので、すこしビビりながら箱を開けてみたのですが、そんな不安を吹き飛ばすかのようなよく出来たキットです!!
ややプラの材質に違和感を覚えるものの、組み立てていく行程が非常に楽しく、ニヤッとくるような設計を感じます。跳ね上げたガルウィングドアが頂点でパチッと音がしつつ固定してくれるところや、クローズ時にもダボによってポクッと固定されるあたり、うれしい演出ですね。
難点はドアミラー。実車のステーの細さを再現していることから、固定に苦労します。キットではボディ側に切り込みを入れ固定面を増やして対処していますが、合わせが見えてしまい仕上がりがやや見苦しい。そこで工程レポートのように変更したのですが、細さからくる接着面の少なさで、取り付けには苦労しました。
国産キットの違いを楽しむもよし
ボディカラーはクレオスのクランベリーレッドパールというカラーを使用。今は廃盤となったこのカラー(注:のちに復刻された)、塗装にコツがいるので今回もそれなりに苦労させられましたが、その辺が廃盤となる理由だったのかなと思ったり……いい色なのでまた発売してくれないかな。
手を入れた箇所は少ないですが、ポイントを押さえたディテールアップで存在感は上がってくれたかと思います。いかがでしょう? 逆に言えば、さほど手を入れなくても充分魅力的に仕上がるということでもあり、ある意味ライター泣かせなキットですね(笑)。
海外輸入キットはシュリンクされている事が多く、店頭では中身を確認する事も出来ないし、やはり価格も高い目ということもあり、あまり身近な存在とは言えませんが、大変良い経験となりました。国産キットとの違いを楽しむ事が出来ましたし、不安だった説明書の解読などは、逆にイラストだけで読み取れるほどストレスがないものでした。そしてなにより、カーモデルでは塗装の段取りを優先するばかりに、最近あまり感じられなくなった、組み立てる楽しさがありました!!」