BMWの大株主が保管していたプロトタイプを実習生が復元。部品も生産して走行可能に
BMWが新人実習生に希少なクラシックモデルであるBMW1600GTコンバーチブルのレストアを任命。今回、その復元モデルが完成し、姿が公開された。同社のクラシック部門がオリジナル部品を探したり、パーツをいちから作り上げるなどサポートして完成した1600GTコンバーチブルは、約51年前の姿を再現。公道走行可能なナンバープレートも取得している。最近は日本のメーカーも含め、往年の名車をメーカー自身がレストアする例が増えてきたが、この1600GTはその中で出色の出来といえそうだ。
BMWが生産拡大のために1966年に買収したハンス・グラース社で生産されていたクーペモデル(1300GT/1700GT)に手を加え、BMW1600GTの名で世に出たのは1967年のこと。BMWの自社オリジナルモデルではなかったせいか、その生産はわずか1年ほどで打ち切られており、さらにプロトタイプともいえるコンバーチブルの生産は2台のみが記録に残っている。その1台は事故で失われ、残りの1台はBMWの大株主であるハーバート・クワント氏が所有していたが、その後オーナーが変わり、巡り巡ってBMWが買い戻す形で戻ってきていたという。
BMWはこのレストア作業を、車体や構造力学の習得を目指す実習生に託すプロジェクトを考案。かつてグラース社が所有していたディンゲルフィンゴの工場に移され、そこでレストアを行なうことになった。
美しいクーペスタイルの1600GTは、当時のBMW車とは一線を画するフォルムを持ち、グラース社時代にデザインを担当したイタリアのピエトロ・フルアの美意識が見てとれる。どちらかというと1950年代の503、507あたりを思わせるクラシカルなスタイルではあるが、これからのBMWを担うであろう若い実習生たちは1600GTコンバーチブルを自らの手で復活させる過程で多くのこと学んだはず。その成果が今後のBMW車にどうあらわれるのか。そのあたりにも期待したい。
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