インテリジェントなモビリティに向けたクラウドサービスを可能に
12月13日、コンチネンタルはクルマ・通信・ITS業界の主要会社であるエリクソンや日産自動車、NTTドコモ、沖電気工業、クアルコムとの5.8GHz帯を用いた日本初のセルラーV2Xの基本的な通信特性の実証実験に成功したことを発表した。
この実証実験では、車車間(V2V:Vehicle-to-Vehicle)、クルマと交通インフラ間(V2I:Vehicle-to-Infrastructure)、クルマと歩行者間(V2P:Vehicle-to-Pedestrians)の直接通信。またクルマとネットワーク(V2N:Vehicle-to-Network)の基地局経由通信といったクルマ対X通信における特性評価を目的とし、コネクテッドでインテリジェントなモビリティに向けたセルラーV2Xの有効性を確認。コンチネンタルはこの技術の信頼性、遅延特性における強みはリアルタイム通信をサポートできるとの考えを示している。直接通信はモバイルネットワーク圏外のエリアでもV2V、V2I、V2Pを実現し、基地局経由通信においては、道路や交通状況を含むクラウドベースの広域での情報収集と配信をV2N通信により実現する。
実証実験は日本国内のテストコースなど、複数の実験場所で行なわれ5種類のユースケース(追い越し禁止警告、急ブレーキ警告、ハザード警告、交差点通過アシスト、歩行者警告)を想定した走行試験を実施。これらのユースケースは通信技術の基本的な特徴を検証するものとして選定され、V2V通信に限らずV2I、V2P、V2N通信をさまざまな走行環境と走行速度のもと行なわれている。直接通信の実験では、最大時速110kmで走行する車両同士のすれ違い(大型トラックを含む)、車両間に遮蔽物が存在する環境等で基本的な通信性能を確認。その結果、中央値20ミリ秒の通信遅延、および見通し環境で最大伝送距離1.2kmを達成、セルラーV2Xの有効性を確認した。また、ドコモの商用LTE-Advanced(以下、LTE-A)網を用いた基地局経由通信では中央値50ミリ秒の通信遅延を達成した。
コンチネンタルのインフォテインメント&コネクティビティ事業部長のヨハン・ヒーブルは、今回の実証実験終了にあたり次のようにコメントしている。
「今回の日本での実証実験でセルラーV2Xは車車間、クルマと交通インフラ間、クルマと他の交通参加者間で情報を速く、確実にやりとりするに適しているということがわかりました。直接通信および基地局経由通信が車の視野を広げ、将来のコネクテッドでインテリジェントなモビリティに向けたクラウドサービスを可能にすることでしょう」
セルラーV2Xは3GPPで自動車安全性の向上、自動運転、交通効率化を支えるV2X通信ソリューションとして規格化され、直接通信と基地局経由通信の2タイプの通信方式がある。セルラーV2Xはカメラ、レーダーといった先進運転者支援システムセンサーを補完。セルラーV2X直接通信モードは3GPP Release14で仕様が規格化され、基地局を介さず5.9GHz等のスペクトラムバンドで低遅延のV2V、V2I、V2P 通信を実現するもの。基地局経由通信はV2Nサービスに広域通信を提供する。現在3GPPによる5G向けのセルラーV2Xの仕様策定が進められている。
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