弾痕を再現した実車を模型で再現
「映画オールタイム・ベスト100」というような企画があると、決まって1位や2位に選ばれるほどの名作、『ゴッドファーザー』。そこに登場する1941年型リンカーン・コンチネンタル・クーペと、それを再現した1/24スケールの模型については、すでに前編の記事でご紹介した。ここでは、その制作についてさらに詳しいことを語っていこう。
【画像39枚】コンチネンタルとトミーガン、その制作工程を見る!
すでに述べたように、待ち伏せしていたヒットチーム数人にトミーガンで銃撃されるというシーンで、このコンチネンタルは文字通りハチの巣のようになってしまう。この映画の制作舞台裏を詳述したハーラン・リーボ著『ザ・ゴッドファーザー』(ソニーマガジンズ刊)では、この撮影について次のように説明されている。
「スタッフは撮影のためにボディにドリルでいくつもの穴をあけ、45口径の銃弾が当たったように見せるために穴の縁を内側に曲げ、それぞれの穴に少量の火薬を詰めた。すべての作業が終わると、穴はきれいに塞がれ、全体を塗り直して、ショールームに飾れるくらいに修復した」
穴の縁を曲げたところ、そして一旦完全に修復したというところがポイントだ。この修復が不完全で、銃撃の前に仕掛けがバレバレというような例も映画やドラマではあるのだが、このコンチネンタルは隙のない美しさを湛えており、それが一瞬にしてハチの巣になるのだから、非常に見応えがある。
そんな訳で、当時の映画スタッフの見事な仕事ぶりに敬意を表し、作者も孔の縁を曲げ(ることはできないから、削り込んで窪ませ)、厚い塗膜がパリッと剥がれた様を再現することに挑戦してみたのだという。弾痕の位置、ガラスの割れ方も可能な限り映画に近づけてみたが、その過程で分かったのは、この撮影には2台のコンチネンタルが使われているということだ。カットによって弾痕の開き方などに違いがあるというのである。破壊には使われなかった劇用車のコンチネンタルが売りに出ていて、その紹介サイトでも、非破壊用車両と合わせて3台が使用されたと書かれている。
オマケにトミーガンも作って硝煙漂うような作品に!
またこの作例に関しては、コンチネンタル以外のアイテムも制作している。トンプソン・サブマシンガン(トミーガン)がそれであるが、これについては、AMTの1977年型ダッジ・モナコに付属するパーツがベースだ。これは1/25スケールなので、1/24であるコンチネンタルとはちょっと合わないかもしれないが、さほど気にしなくてもよいだろう。パーツは三角形のサイトガードからM1A1と思われるため、ディテールを変更して作中のM1928に改造するとともに、ドラムマガジンも自作している。これによって、映画の雰囲気をより濃厚に捉えることができた、と考えているそうだが、いかがだろうか?