「RS Q e-tron」、世界で最も過酷な砂漠ラリーで初の総合優勝! 約7,900kmに及ぶ激戦において、2位に1時間20分の大差をつける
アウディが新たな歴史の扉を開いた。電気駆動システム、高電圧バッテリー、エネルギーコンバーターを搭載した低エミッションプロトタイプ「アウディ・RS Q e-tron」が、世界で最も過酷な砂漠ラリーで初の総合優勝を果たした。
約7,900kmに及ぶ激戦を経て、スペイン人コンビのカルロス・サインツ(Carlos Sainz)/ルーカス・クルス(Lucas Cruz)組が、2位のチームに1時間20分の大差をつけて、アウディにダカールラリー初勝利をもたらした。また、マティアス・エクストローム(Mattias Ekström)/エミール・ベリークヴィスト(Emil Bergkvist)組も完走を果たした。
アウディAG最高経営責任者(CEO)のゲルノート・デルナー(Gernot Döllner)氏は、次のように述べた。「ダカール・ラリーにおけるチーム・アウディスポーツの勝利を祝福したいと思います。アウディは再びモータースポーツの歴史に金字塔を打ち立てました。
電気駆動システムを搭載したマシンで、世界で最も過酷な砂漠のラリーに勝つことは、アウディのスローガンである”Vorsprung durch Technik(技術による先進)”を体現するものであり、アウディが追い求める電動化の未来への道筋を示すものです」
アウディ・RS Q e-tronは電動4輪駆動モデル。モーターで使用する電力は、高電圧バッテリーと残留燃料をベースとするreFuelで作動するエネルギーコンバーターから供給される。このコンバーターは、従来の燃料と比較してCO2排出量を60%削減するという。
【写真21枚】過酷な環境下で行われるダカールラリーでも、傑出したパフォーマンス!
アウディAG技術開発担当取締役のオリバー・ホフマン(Oliver Hoffmann)氏は、「アウディの革新的な電気駆動システムにより、わずか3年で最も過酷なモータースポーツのひとつとされるダカール・ラリーを制覇することができました。これにより、私たちは40年にわたるモータースポーツ参戦の歴史において、常にアウディを特徴づけてきた先駆者としての役割を引き続き果たしています。
非常に過酷な環境下で行われたダカール・ラリーで、傑出したパフォーマンスを見せてくれたチームのスタッフ全員に感謝したいと思います」。今年のダカール・ラリーには、トヨタとフォードの2つのワークスチームに加え、経験豊富なチーム「プロドライブ」も参戦し、激しい戦いが繰り広げられた。
カルロス・サインツ/ルーカス・クルス組は、第6ステージから常に首位を独走し、大きなリードを築き上げた。2010年,2018年,2020年にも優勝しているスペイン出身のこの2人にとって、今回の結果は、フォルクスワーゲン・グループから参戦した2回を含め、それぞれ異なるブランドで通算4回目の勝利となった。
しかし、今年のダカール・ラリーでは「世界ラリー選手権 (WRC)」のタイトルを2回獲得しているサインツと彼の経験豊富なコ・ドライバーであっても、終了直前まで勝利に確信を持てなかったという。セバスチャン・ローブ(Sébastien Loeb)/ファビアン・ルルカン(Fabian Lurquin)を擁するTeam BRXは、サインツを僅差で追撃していたが、最終日の前日にマシンが大きなダメージを受けた。
アウディ・モータースポーツ統括責任者のロルフ・ミヒェル(Rolf Michl)氏は、次のようにコメントした。「圧倒的なチームパフォーマンスでした。アウディにとってこの歴史的な勝利を収めるために、スタッフ全員が力を合わせました。この素晴らしいチームに感謝します。今日、私たちはアウディだけでなく、ダカールラリーの歴史にも新たな章を書き加えました」
2024年のダカールラリーのデイリーステージの多くは400kmを超え、チームからのサポートを受けずに走りきる2つのマラソンステージや、4,600kmのタイムを競うスペシャルステージを含み、総走行距離は7,883kmに達した。参戦した全チームは、険しい岩場とグラベル(未舗装路)だけでなく、アラビア半島特有の過酷な砂丘が続くルートを走行。困難なナビゲーションにも対応する必要があった。61歳のカルロス サインツは約40年にわたる豊富なラリー経験を活かし、ルーカス・クルスとともに12のステージで合計8日間でリードを記録した。
ほかの2組のアウディ・クルーも、序盤から力強いパフォーマンスを見せた。スウェーデン人コンビのマティアス・エクストローム/エミール・ベリークヴィスト組は序盤プロローグで勝利し、6ステージ後の休息日までにサインツ/クルス組に次ぐ2番手まで順位を上げた。
しかし、第7ステージでリヤアクスルにトラブルが発生、すべてのチャンスを失った。ダカール・ラリー14勝の記録保持者であるステファン・ペテランセル(Stéphane Peterhansel)はステージ50勝目、通算83勝目を挙げて中間地点手前で6番手につけていたが、油圧システムのトラブルにより、彼とフランス人コドライバーのエドゥアール・ブーランジェ(Edouard Boulanger)は、第6ステージ終了時点で22番手まで後退してしまった。
その後、両チームはチーム・アウディスポーツの勝利に向け、全力でカルロス・サインツ/ルーカス・クルス組をサポートした。アウディ・モータースポーツ統括責任者のロルフ・ミヒェル氏とエントリーパートナーであるQ Motorsportチーム代表のスヴェン・クヴァント(Sven Quandt)氏は、第46回目となるこの過酷なラリーで、完璧な戦略を実行した。
ドライバークルーは、チームの指揮を執る彼らの信頼に完璧に応え、マラソンの第2ステージではルートを切り開く必要を回避するため、戦術的に順位を後退させると共に、先を走るカルロス・サインツ/ルーカス・クルス組を見事にサポートした。チームスタッフも体力的に厳しい長いラリーの間、たゆまぬ努力と確実な作業を続けた。エクストローム/ベリークヴィスト組はトップ50でイベントを終えた。
アウディスポーツは、極めて高い効率を誇るアウディ・RS Q e-tronを、わずか3年の間に勝利するマシンに成熟させた。テクニカルディレクターのDr.レオナルド・パスカーリ(Leonardo Pascali)の技術指導のもと、アウディスポーツは革新的な駆動システムで新しい歴史的偉業を成し遂げた。
1980年代にクワトロ4輪駆動で世界ラリー選手権を席巻し、その後サーキットで数々の勝利とタイトルを獲得した後、アウディは「ル・マン24時間レース」に革新的なレースカーを投入して、その強さを実証した。効率的なTFSIドライブ、電動e-tron クワトロ4輪駆動システム、LEDマトリクスライトやアウディレーザーライトなどのテクノロジーは、高度な革新性とVorsprung durch Technikを体現している。
その後、アウディ初の電動レーシングカーで「フォーミュラE」デビューを果たし、さらに究極のチャレンジとしてダカールラリーに参戦し、電気駆動システムを搭載したマシンで優勝した最初のメーカーとなった。
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