傑作510ブルーバードの後継車
この記事の公開日は2024年1月9日。今から51年前の今日――すなわち1973年1月9日に発売された名車をご存じであろうか? 答は、710型系・日産バイオレットである。
710型系バイオレットは、それまでのブルーバードがモデルチェンジでブルーバードUとなり、車格も上級へ移行したことを受け、ブルーバードUとサニーの隙間を埋めるために誕生した。ブルーバードUのデビュー後も、その先代である510型ブルーバードが併売されていたので、バイオレットの登場はそのモデルチェンジとも捉えられる。事実、バイオレットのエンジンやドライブトレインは510型のそれを踏襲したものとなっていた。ブルーバードUには営業車が設定されなかったため、その任を受け持ったのもバイオレットの特徴である。
ボディサイズ的にはブルーバードUよりはもちろん小さいが、510よりも若干大きく、その余裕を活かした丸みのあるスタイリングを採用。特に、ボディサイドを走る優雅な曲線を「ストリームライン」と名付けてアピールした。日産ではこれについて、「ロングフード、ファストバックのスポーティなシルエットと、豊かな曲面との構成によるダイナミックで、しなやかな誰にでも愛されるスタイルとした」と述べていた。
ボディ形式は2ドアと4ドアのセダン、そして2ドア・ハードトップの3種類(のちにバンが加わっている)。セダンとハードトップでは前後グリルのデザインを作り分け、また、どちらもテールランプはL字型をモチーフとしながらデザインは完全に違っていて、それぞれ異なるニュアンスを表現していた。さらに、Aピラーを黒塗りのフィニッシャーでカバーし、ハードトップはリアウィンドウに逆Rガラスを使用するなど、随所に新感覚を打ち出している。
4独サスが具わり5速ミッションも用意されたSSS系
レイアウトは無論FRで、前ストラット/後ろセミトレのサスペンションは510譲りであるが、リアがセミトレとなるのはスポーティグレード(SSS系)だけで、それ以外のモデルでは、リアサスペンションはリーフリジッドとなる。搭載エンジンは直列4気筒OHCのL型のみで、1.4L、1.6Lが存在。1.4LはシングルキャブのL14(85ps)1種、1.6LはシングルキャブのL16(100ps)、同じくL16のツインキャブ仕様(105ps)、そして電子制御インジェクション仕様のL16E(115ps)の3種があり、合計4種類。このうちL16のツインキャブとインジェクションはSSS系専用となる。
グレード構成について大まかに述べると、SSS系は1.6Lのみ、それ以外のグレードとしてデラックスとGLがあり(GLの方が上級)、こちらには1.4Lと1.6Lがそれぞれあるが、2ドア・セダンは1.4Lのみのラインナップ(つまりSSS系なし)で、ハードトップの1.6Lにはデラックスは設定されない。また、最低グレードとなる1400スタンダードはセダンのみに存在。トランスミッションは4速MTと3速ATを基本に、SSS系にのみ5速MTも用意される(インジェクション仕様であるSSS-Eは5速MTのみ)。
当時の価格は2ドア・セダンの1400スタンダード(4速)で56.5万円、同1400GL(4速)で65万円、4ドア・セダンの1400デラックス(4速)で62.5万円、1600GL(AT)で75.5万円、1600SSS(5速)で77万円、ハードトップの1400デラックス(4速)で65万円、1600SSS(AT)で82.5万円、1600SSS-E(5速)で84万円(いずれも東京地区)。
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