バブル期に向かう日本の勢いを感じさせる1台
この記事の公開日は2023年9月10日。今から38年前の今日――すなわち1985年9月10日に発表されたミッドシップスポーツのプロトタイプをご存じだろうか? 日産MID4(ミッドフォー)である。
正確には、1985年のMID4(1987年のMID4Ⅱに対して”初代”とも呼ばれる)の公開は、同年9月12日から西ドイツ(当時)で開催されたフランクフルトモーターショーでのことで、9月10日ではない。10日に行われたのは、同ショーへの出展を発表するアナウンスだ。この発表通りMID4はフランクフルトショーにて公開、同ショーは9月22日まで開催されたが、そのすぐ後、同年10月31日から11月11日にかけての東京モーターショーにもMID4は出展され、非常な注目を浴びたのである。
当時はまだホンダのNSXもデビューしていない時代であり、これが市販化されれば、日本車としては初めての、ハイパワーエンジンを搭載したミッドシップ・スポーツカー、つまりスーパーカーと言える存在となるのではないかと、MID4は熱い注目を集めた。現在の視点でMID4を振り返る記事では、「市販の予定はなかった」とされることも少なくないが、この時の日産のニュースリリースには、「市販を予定した」という言葉がはっきりと使われている。
MID4は、日産の言葉によれば「全く新たに開発した新世代の本格的な二人乗りスポーツカー」。車体中央に横向きに搭載したVG30DE型エンジンは、VG30E(すでにセドリック/グロリア用としてデビュー済み)をツインカム化・4バルブ化したもので、最高出力230ps。駆動方式はフルタイム4WDを採用、日産では「種々の走行条件や路面状況の下で高性能パワーユニットが引き出すパワーを確実に路面に伝え、安定した高度な走りを実現」したとしていた。
サスペンションは前後ともストラットだが、リアにはダイアゴナルAアーム式を新開発、同年夏にデビューした七代目スカイラインで採用済みのHICAS(電子制御式後輪操舵)も組み合わされている。ブレーキは前後ともベンチレーテッドディスクで、電子制御四輪アンチスキッドシステムを採用。また、ボディ外板にFRPを使用していたのも特徴であった。
かなり現実性の高い内容を持っていたMID4だったが、結局市販されることはなかった。2年後の1987年には、さらに内容を煮詰めエンジンもサスペンションも進化したMID4Ⅱを発表、エクステリアデザインもより完成度を増し、市販化を期待する声もいよいよ高まったが、ついに実現することがなかったのは、ご存じの通りである。しかし、このふたつのMID4で培われた技術が、日産各車に様々な形でフィードバックされたことは、想像に難くないだろう。
■関連記事
- まるいけど尖ったクルマ!今は懐かしきバンダイ製プラモ「日産Be-1」を蘇らせる【モデルカーズ】
- 「一気に頂点」をめざしたホンダ・スピリットそのものの「ホンダNSX」【世界の傑作車スケルトン図解】#23-1
TAG :
関連記事
愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?
複数社を比較して、最高値で売却しよう!
車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。
手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!
一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!
【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>