2023年、サステナブル素材70%のタイヤの量産および販売も予定
2023年1月12日(木)、グッドイヤーは、サステナブル素材90%のデモタイヤを発表した。このデモタイヤはグッドイヤーの社内テストとともに、公道走行を可能にするために適用されるすべての規制テストに合格したもの。
また、このデモタイヤは従来の素材で作られた比較用タイヤと比べても、”転がり抵抗”が低いことがテストにより証明されている。転がり抵抗が低いということはつまり、このデモタイヤがより優れた燃費と二酸化炭素排出量の削減をもたらす可能性を示している。さらに、グッドイヤーは2022年1月にサステナブル素材70%のタイヤ開発の成功を発表しているが、2023年にはその素材の供給拠点との連携を強化し、量産および販売を開始する予定でもあるという。
今回発表したサステナブル素材90%のタイヤを市場投入するためには、素材の供給拠点との連携をさらに強化し、量産体制を安定させるため必要な、これらの革新的な素材の規模を特定する必要がある。
◆サステナブル素材90% デモタイヤ――12のタイヤ構成要素にわたる17の成分
このサステナブル素材90%デモタイヤの12にわたるタイヤ構成要素には、以下を含む17の特徴的な成分が含まれる。
・タイヤのコンパウンド補強や寿命向上のために配合されるカーボンブラックは、従来さまざまな石油製品を燃やして作られてきた。グッドイヤーのサステナブル素材90%のデモタイヤは、メタン、二酸化炭素、植物由来の油、使用済みタイヤの熱分解油原料から作られる4種類のカーボンブラックを特徴としている。これらカーボンブラック技術は、炭素排出量削減、循環性の向上、およびバイオベースの炭素を使用しながらも一定の性能を発揮することを目標にしている。
・このデモタイヤに使用されている大豆油は、極端な温度変化の中でもコンパウンドの柔軟性を保つのに役立つ。大豆油はバイオベースの資源であり、グッドイヤーの石油系製品の使用量を削減する。大豆タンパク質のほぼ100%が食品や動物飼料用途に使用されているが、かなりの余剰油があるため産業用途に使用できる。
・シリカはタイヤ製造に頻用される成分で、グリップ力の向上や燃費低減に効果がある。米の加工時に出る副産物で、廃棄され埋め立てられることが多い籾殻廃棄物残渣(RHAシリカ)から生成された高品質のシリカが含まれる。
・ポリエステルは、ペットボトルやその他プラスチック製品の廃棄物を基材に戻し、タイヤコードに使用可能な工業用級のポリエステルに改質することでリサイクルしている。
・樹脂は、タイヤのトラクション性能を改善および強化する目的で使用される。従来のタイヤでは石油ベースの樹脂が使われるが、このデモタイヤでは再生可能な松の木の樹脂が使用されている。
・ビードワイヤーとスチールコードは、ラジアル構造のタイヤにおいて強度を補強。このデモタイヤには、電気アーク炉(EAF)プロセスを使用して製造された高リサイクル率の鋼のビードワイヤーとスチールコードを使用。EAFプロセスを利用することで、エネルギー使用量を削減し、リサイクル含有量を高めて鋼を生産することができる。EAFプロセスは、高炉を使用して生産された鋼と比べて、温室効果ガス排出量が少ない可能性がある。
・このデモタイヤには、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)を受けたバイオおよびバイオ循環原料からのマスバランスポリマーも含まれている。
グッドイヤーのサステナブル素材への移行の流れは明らかで、現在8つの商品ラインと一部のレース用タイヤに大豆油が使用されている。さらに2018年以降、RHAシリカの使用量は2倍以上になっている。グッドイヤーはサステナブル素材70%のタイヤを導入することで、より良い未来(BETTER FUTURE)を築くための市場ソリューションへの具体的な取り組みを示している。
*サステナブル素材とは、バイオベース/再生可能なリサイクル素材、または、資源保護および/または排出削減を可能にする製造工程で作られるマスバランス素材を含む素材と定義される。
**サステナブル素材90%のタイヤはデモタイヤとして開発されたが、これは、グッドイヤーが高レベルのサステナブル素材を使った消費者向けタイヤを製造する技術と能力があることを証明したといえる。
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