コロナから生まれた、GTの名を持たぬGT
トヨタ・マークⅡの初代モデルは、1968年9月にトヨペット・コロナ・マークⅡとしてデビューしている。車名が示す通り、コロナの上級版としてクラウンとの車格のギャップを埋めるモデルであった。同年、先に登場している日産のローレルと同等の車格となるクルマであったが、大きな違いは、マークⅡには当初から2ドア・ハードトップが用意されていたことである。
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初代マークⅡのボディスタイルは、3代目コロナのアローラインをふくよかに、ひと回り大きく拡大したものと言ってよい。4ドア・セダンはCピラーに大きなガーニッシュを設けて6ライト風に見せたキャビンが特徴で、ハードトップはこれをベースに2ドアとしたものだが、ウェストラインが微妙なコークボトルラインを描くのもセダンとの違いである。余談だが、この頃のトヨタ車はラインナップ中多くの車種に、この”アローライン”のイメージを共通して持たせており、当時のモチーフを今なお受け継ぐ現行センチュリーにもその名残りが見られる。
DOHCエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルのGSSは、デビュー翌年の1969年9月に、2ドア・ハードトップにのみ設定された。それまでのトヨタ1600GTの後継モデルとしての性格も持っていたが、そちらがレースフィールドでの活躍を主目的としていたのに対し、マークⅡ GSSは、よりグランドツーリングカーに寄せたものとなっていた。
搭載ユニットの10R型エンジンは、マークⅡの既存モデルが採用していた8R型(1.9L OHC)にDOHCヘッドを組み合わせたもの(後に呼称を8R-G型に変更)。最高出力140psのこのエンジンにポルシェタイプの5速ミッションを組み合わせ、最高速は200km/hに達した。この10R/8R-Gエンジンは、排気量を2Lに拡大して18R-Gとなり、トヨタ・ツインカムを代表する名機のひとつに成長することとなる。
初代マークⅡの2ドア・ハードトップはフェイスリフトによって大きく3種に分かれ、平板なフロントグリルの前期型、中央に逆三角形のエンブレムを設けて2分割グリルとなった中期型(1970年2月~)、センターグリルを独立させて3分割グリルとなった“イーグルマスク”の後期型(1971年2月~)に分類される。マークⅡはローレルに対しては巧みな商品コンセプトで優勢を誇ったが、代わりに強敵となったのはスカイラインであり、1972年2月のモデルチェンジで登場した2代目では、ロングノーズの6気筒モデルも用意して、これに対抗することとなったのである。
ミニカーを分解してパーツ調達、さらに別の絶版キットも合体!
さて、豊かさ(当時のトヨタ流に言えば”ハイ・ライフ”)を象徴した初代マークⅡだけに、プラモ化の数は少なくない。バンダイ1/16、ニチモ1/20などは現在でも名作として語り継がれているが、隠れた佳作と言えるのが、ここで取り上げたオオタキの1/24スケール・モデルであろう。オオタキのコロナ・マークⅡは、1968年秋の実車デビュー間もない頃に、ハードトップSLとして発売されたようだ。当初の実車最高グレードはSLであり、翌年秋のGSS登場までの間に世に出たものと考えられる。
特筆すべきは何と言ってもボディプロポーションの良さだが、その他のディテールについては、前後グリルなどごく簡易的な表現に留まっている。モーター走行のためインテリアは上げ底(単3電池2本とモーター/ギヤボックスを車室部に収める)で、再現性という意味においては見所のない出来であった。
1972年の実車モデルチェンジに即して、オオタキからも2代目が1/24マークⅡ-Lとして製品化された代わりに、初代のキットは早々に姿を消している。前述のニチモなどは特に、GSLへの改修後、1980年代前半まで販売されたが、対してオオタキは短期間で絶版となたっため、一部のマニアしか存在を知らないアイテムとなっていたのである。
ここでお見せしている作例は、このオオタキのキットを外観重視で仕上げたものだ。ディテールの再現性に欠ける部分については、主に1/24ダイキャストミニカー『国産名車コレクション』の前期型セダンを分解、組み合わせている。特にシャシーはオオタキのボディとの合いも良好だったとのことだが、作例ではさらにニチモ1/20も部分的に使用し、非常に贅沢なモデリングとなった。
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