日本屈指のチューナーとして日産GT-Rの可能性を追求して止まない。そんなMCRに対して、今回、BBSが足もとを支えることになった。MCR流の理想的な足まわりを想定した「RE-V7 MCRスペック」だ。MCR専売モデルとして生まれたMCRスペックの実像と考え方に迫る。チューニングの可能性を追求する。
【写真8枚】MCRチューニングのために造られた専売モデル「RE-V7 MCRスペック」の詳細を写真で見る
MCR流セッティングにピタリと収まる20インチ
鮮やかな赤色をまとい、そこにさりげなく戦闘的な雰囲気を含ませる日産GT-Rの足もとに、BBSの新作であるRE-V7が堂々としたサイズ感で収まる。1990年代にストリートファイターとして名を馳せ、現在もGT-Rチューニングを極めようと活動するMCRに対して、BBSがホイールを専用開発した。MCRスペックと名付けられたそれは、彼らにとってはひとつの挑戦だった。
この個体はブーストアップを中心としたライトチューニングで、最高出力は700psを超える程度だ。もちろんサスペンションやブレーキも強化し、路面を鷲掴みにするようなハイグリップタイヤを履く。なのにストリートユースを見越して軽量化は一切していない。つまり、その狭間にあるホイールにとっては純粋なレーシングカーよりも厳しい条件が並ぶ。MCRの代表にして国産チューニング界を牽引する小林真一氏は、度重なるサーキット走行を経て、ホイール”性能”を体感してきた。「全開で縁石をまたぐなど激しい衝撃が加わった時、並大抵のホイールはすぐに根を上げてしまう。割れるようなことはなくても、実使用に耐えられないくらいバランスが狂ってしまうことがある。歪むんですね。だけど、昔からBBSにはそれがない。ドライバーに訴えかける剛性感を含めて、全幅の信頼が置ける存在でした」
小林氏がGT-Rチューニングにかけてきた想いを、BBS側が汲み取った専用モデルである。カタログでは18、19インチのみのRE-V7だが、今回、GT-Rに対する要求性能やマッチングを突き詰めた結果として、前後とも20インチを開発した。フロント10.0J、リア11.5Jもの太さを持ち、MCR流のセッティングによって適正なアライメント、車高へと導きながら、スペーサーなしでツライチになるチューナーサイズだ。この個体には前後とも295/35ZR20サイズのミシュラン・パイロットスポーツカップ2が程よい肉厚感を伴って組み合わされた。
絶対的なグリップ力に加え、大径ブレーキシステムが必須だからこそ、前後とも285、295幅というのはGT-R界ではひとつの定番である。極度なチカラが加わったときタイヤとホイールとの空転を防ぐアンチスリップペイントも施された。
このホイールは決してワンオフモデルではないし、かといってBBSジャパンのカタログに載るような一般向けでもない。MCRの門を叩くことで実際に購入できる専売モデルだ。装着に際しては、まずは個体の仕様をMCRにぶつけて、履きこなせるかどうか相談するところから始まる。遠方のユーザーであれば、電話などでも細かく教えてくれるという。
秘めたるBBSの”性能”を余すところなく受け止めて、サーキットでさらにコンマ1秒を削りにいこうと、MCRの小林氏は今日もまたチューニングに勤しむ。そんな彼を受け止めようと、サイズ拡充という意味では不利な鍛造製法なのに、それでもMCRスペックを用意するBBSジャパンの心意気に惹かれる。MCRスペックはそのサイズこそ専用設計だが、先に触れた強大な出力性能と重さを受け止めるだけの強度や剛性はカタログモデルにも宿っている。BBSのモノづくりとは究極的なモデルからストリートカー向けまで一貫して不変だからである。
【ショップ情報】MCR
◎千葉県柏市大青田713-2 TEL:04-7199-2845
◎URL:https://mcr-ltd.com/
◎営業時間:10:00~20:00
◎定休日:月曜日、イベント開催日
R35 GT-Rほか、第二世代のスカイラインGT-R勢を得意とするチューニングショップ。決してGT-R専門ではなく、国産スポーツカーを中心にあらゆる車種を手がけている。
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