マッスルカーの原点!?テールフィンのスポーツカー、「1957年型クライスラー300C」をAMT製プラモで味わう【モデルカーズ】

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正真正銘のアメリカン・ドリームマシーン

クライスラー300C――と言えば、「ああ、あれか」と思う方は少なくないだろう。21世紀に入ってからクライスラーが送り出した4ドア・セダンである。しかしこの300/300Cが、ある往年の名車へのオマージュとして企画されたものであると意識している方は少ないかもしれない。大きな格子状のフロントグリルを中央に置いたフロントマスク、縦長のテールランプ、これらの特徴は全て、あるフィフティーズカーの現代版アレンジなのである。そのイメージの基となった車種、それこそが1957年型クライスラー300Cなのだ。

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「300」という名は、それより2年前の1955年型クライスラーから現れたものである。クライスラーC-300――その名の通り、最高出力300hpを発揮するエンジンを載せた高性能モデルだ。搭載されるのは、クライスラー自慢のHEMIヘッド(半球形燃焼室)を持つ331-cid(5.4L)、ファイアーパワーV8。C-300はレース出場を最初から考慮したモデルであり、同年のNASCARグランナショナルにて40戦中23勝を挙げるなどの圧倒的な強さを見せつけた。

そして翌1956年型の300B(C-300のマイチェン版でエンジン出力は340hpに達した)を挟み、1957年型として生まれたのがクライスラー300Cである。末尾のアルファベットはB、C、D、Eと年々変わっていったことから、このシリーズは「レターカー」の名でも呼ばれた。エンジンは392-cid(6.4L)に拡大され、最高出力は375hpまでアップしたが(390hp仕様もオプションで用意)、車名は依然「300」のままである。

この300Cではレースへの出場はなくなったが(NASCARのルール変更への抗議の意味と言われる)、この300Cこそレターカーの最高傑作と評する声は多い。1957年型クライスラー系各車は、デザイン担当副社長ヴァージル・エクスナーによる第2世代”フォワード・ルック”をまとっていたが、その美しさの頂点として名高いこと、また翌1958年の300Dを最後にエンジンがHEMIユニットではなくなったこと(しかも300Dで導入されたインジェクションは欠陥品だった)などが、その理由と言えるだろう。

ようやく叶ったキット化を細かな工作で堪能
さて、そのように名車として語り継がれてきた1957年型クライスラー300Cだが、長らくプラモデル化はされていなかった。その1/25スケール・キット化が叶ったのは1999年のことである。リリースしたのは、その頃フルディテールモデルとしての完成度をメキメキ向上させていたAMTだ。このキットでも、フロアとは別体のシャシーフレームをはじめとして、バスタブ式ではないインテリア、補器まで細かくモールドされたエンジン周りなど、「緻密」と言ってよいまでの再現度を誇る。

作例はこのキットをほぼそのまま組み立てたものだが、メッキパーツのライトベゼルはボディとの一体感に乏しいので先に接着、パテで裏打ちのうえフェンダー上面を削るなどして仕上げた。このヘッドライト上の庇状の部分がもう少し前に延びた方が実車により似るのではないかと思われる。フェラーリからインスパイアされたという格子グリルは、メッキを落としてメタリックグレーで塗装。テールランプベゼルのパーツも下部はボディカラーとなるので先に接着、メタルックを貼って仕上げている。テールレンズは取り付け面を削ってパーツをひと周り小さくした。

エンジンルームにはヒーターとブレーキ関連の太いホースを追加したが、プラグコードは実車でもカバーに覆われて目立たないので、これはスルーした。キャブレターには金属線で燃料パイプを追加、右側タイヤハウスにはウォッシャー液のバッグをパテで自作して取り付けている。シャシーはフレームの肉抜きを一部埋めたほか、トーションバーを真鍮線に置き換え。ボディはタミヤ缶スプレーのブラックで塗装、インテリアには同じくスプレーのライトサンドを使用したが、実車の色調はもう少し軽いかもしれない。

 

作例制作=秦 正史/フォト=羽田 洋 modelcars vol.122より再構成のうえ転載

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2022/07/03 15:00

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