1977年に登場した5代目日産スカイライン(C210型)は、「日本の風土が生んだ日本の名車」というキャッチフレーズと”SKYLINE JAPAN”のメッセージとともにデビュー。1980年にはL20E型エンジンにターボを追加したターボモデルがラインナップに加わった。翌年の1981年春にはアオシマ(青島文化教材社)から『ザ・チューニングカー』というカー・モデルシリーズが登場。ノーマルではなく当時人気の改造が施されたクルマをリアルに再現したカー・モデルといいうことで、クルマ好きのニーズを巧みに捉えて爆発的なヒットとなる。ここでは、シリーズ『ザ・チューニングカー』シリーズの第二弾となったジャパン2ドア(ニッサンスカイライン HT 2000GT ・ESターボ)の作例を紹介。ビルダーの吉田優氏に解説をいただく。
リアルな改造内容と箱絵にワクワク!
アオシマの「ザ・チューニングカーシリーズ」と聞くとすぐさまあの箱絵が脳裏に浮かんでくる。メインカットとして暗闇の中に静かに佇むチューニングカーが描かれ、その上にネガポジ反転されたイラストと共にチューニング内容が詳細に記載されている。そのチューニング内容や改造パーツはリアリティ抜群で的を得た内容になっているため、箱を眺めているだけで、実車を目の前にして、チューニングプランを練っているオーナーのような気分が味わえ、妙にワクワクする。想い返してみると私は子供の時分、模型店で、どのキットを買おうか品定めする際には箱から得る情報を最も重要視していたように思う。
当時の私には、箱の中身の成型色のままの部品群を見るより、箱上面にカッコよく描かれたクルマ全景や箱側面に記載されているキットの特徴、車両のヒストリーや車両外観図、使用カラー番号など様々な情報が記載されている箱を眺める方が、制作イメージを掴み易かったのであろう。それに加えて当時の箱絵は、ハの字が印象的なフジミのインチアップシリーズや薀蓄に説得力のあるタミヤのスポーツカーシリーズ、一風変わったLSの中古車シリーズなど今と比べて各メーカー共に個性やインパクトがあったようにも思う。
そして、中でも最もワクワクさせてくれたのは先に触れたアオシマのザ・チューニングカーシリーズだ。あれから30年以上経った今、再びザ・チューニングカーシリーズの箱を目の前にする機会を得たのだが、大人になった現在の視点で箱を眺めて見ても実に魅力的なボックスアートでどんどん妄想が膨らんでしまう。もはや、作りたい気持ちを抑えきれなくなってしまうのだ。今回、箱絵仕様を制作するにあたって、本シリーズに敬意を表し、ライトリフレクターの追加やボディのエッジを和らげる等の簡単に出来る改造に留めておいた。
こうしたキットの持つ素性を活かすモデリングも実に気楽で楽しい。ザ・チューニングカーシリーズは全17種類のボックスアートが存在しており、まだまだ当分楽しめそうである。 (吉田 優)
スピードスターホイールに八の字リアサス
『ザ・チューニングカー』シリーズの第二弾となったジャパン2ドア。初版は白いクルマにスピードスターMK IVメッシュを履いていたが、八の字リアサスパーツが追加された時点でブルーのクルマの箱絵に変更された。気になるボディカラーは実車のブルーメタリックを明るくし過ぎたのか、ほとんどソリッドの水色にも見える不思議な色調になっている。吉田作品はそのボディカラーの他、シャラクのホイール、リアのネガティブキャンバーなども忠実にコピー。ヘッドライトのリフレクター処理の上手さから、非常にリアルに見えるが、自作のデカール類で内外装をさらに引き締めている。
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