押し寄せる電動化の波はSUVとて例外ではない。12年ぶりの日本再参入で注目を浴びる、ヒョンデのクロスオーバーEVで「新しい生活様式」を改めて実践してきた。
EVシフトによって訪れる新時代のライフスタイルを体感
世の中に「新しい生活様式」というものが提案されてしばらく経つが、ずっと家に引き籠ってのテレワークだったり、ZOOMを用いてのリモート飲みだったりと、内向的なアクティビティが多く「新しい」という割にはあまりプラスの意味で捉えられないというのが正直なところだった。
だから今回この企画の話を貰った時、本当に「新しい生活様式」を楽しめるのか期待半分、不安半分といったところだった。
しかもクルマはEVである。世の中的にはEVシフトが進みつつあるということになっているが、こちらも世間の目は懐疑的……というのが実情だろう。それにワーケーションとなれば必然的に遠出を強いられることになる。バッテリー残量が気になり、現地でリラックスする余裕はあるのだろうか……と、いきなりマイナスイメージばかりを書き連ねてしまったが、その考えは大きく塗り替えられることとなった。
今回の相棒はヒョンデ・アイオニック5・ラウンジAWD。バッテリー容量は72.6kWhで、WLTCモードでの一充電走行距離は577kmとなっているが実情は400kmくらいといったところだろう。その容量を存分に発揮してもらおうということで、目的地を山中湖へと定めた。出発時点での残量は95%であった。
東京西部の自宅を出て中央道へ。この日は春先というのが噓のような初夏の陽気で、直射日光が差し込むと車内は汗ばむ気温に。せっかくのワーケーション、こんなところでやせ我慢をしても仕方がないのでエアコンは常時ON。クルマを試すわけではないが、普段のガソリン車と変わらない運用を心がけることにした。
高速道路でも積極的に追い越し車線に出て流れをリード。EVらしく加速はスムーズ、4輪駆動ではあるが基本は後輪がメインで、坂道やスポーツモードなど強いトルクを必要とする時に適宜前輪も駆動するという形だ。平日の朝ということもあり、道も空いていたので、あっという間に山中湖へ到着。到着時点でのバッテリー残量はここまで約80kmを走って残り65%を指し示していた。中央道が常にゆるやかな上り坂であったことを考えれば上々であろう。
早速、湖畔でチェアとテーブル、そしてラップトップを広げて一息。雄大な富士山を前にして書く原稿は、それだけでも気分爽快、まさに絵に描いたような理想のワーケーションだ。
そしてアイオニック5の醍醐味と言えばバッテリーからのV2L(Vehicle to Load:EVからの外部機器への給電)であろう。今回持ち込んだのは電気ケトル。やはりこういったシチュエーションにはコーヒーが欲しくなる。使用時には1250Wを消費する電気ケトルだが、コーヒー程度の水量でであれば沸かすのも一瞬。バッテリー残量も到着時の65%から減らず、これなら軽い調理なども楽勝であろう。
これは後でヒョンデの担当者から聞いたことだが、フル充電であればV2Hで一般家庭における4〜5日分の電力を賄えるということで、いざという時の電力源としてEVが非常に有用であるということを改めて実感できた次第だ。
帰路についてもバッテリー残量は45%ほどあり、フル充電であればこのくらいのアクティビティは余裕でこなせる。いい意味でEVという存在に裏切られた1日であった。
【Specification】ヒョンデ・アイオニック 5 ラウンジAWD
■全長×全幅×全高=4635×1890×1645mm
■ホイールベース=3000mm
■車両重量=2100kg
■モーター形式/種類=EM07・EM17/交流同期電動機
■最高出力=225ps(305kW)/2800-8600rpm
■最大トルク=605Nm(61.7kg-m)/0-4000rpm
■バッテリー容量=72.6kWh
■トランスミッション=1段変速機
■サスペンション(F:R)=マクファーソンストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F&R)=255/45R20
■一充電走行距離(WLTCモード)=577km
■車両本体価格(税込)=5,890,000円
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