スポーツカーの神髄はやはりFRにあり!? BMW2シリーズクーペの実力をシボレー・カマロSSとメルセデスAMG A45Sと徹底比較!

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伝統のFRレイアウトを受け継いだ新型2シリーズクーペ。しかも、最新BMWのテクノロジーを取り入れた新型は、BMWファンならずとも気になる存在といえるだろう。ここでは、最上級グレード「M240i xDrive」をピックアップしてライバル比較を行なった。

M240iの走りは期待通りの仕上がり

2シリーズクーペは、1966年に登場した「BMW 02シリーズ」の系譜を受け継ぐコンパクトクーペ。MパフォーマンスモデルのM240i xDriveのエクステリアは、2シリーズクーペの持つ筋肉質なアスリート然としたた佇まいをさらにブラッシュアップさせている。

2021年6月、新型2シリーズクーペがデビュー。クーペの先行き不安が、いきなり解消した。従来型は、駆動方式にFRを採用する先代の1シリーズから派生。だが、現行型の1シリーズはFFだ。すでに、2シリーズの4ドアクーペとなるグランクーペは1シリーズをベースにしている。そのため、グランクーペの2ドア版として投入されても不思議ではなかった。それが、4リーズからプラットフォームや多くのユニットを受け継いだ、FRベースのモデルとしてデビューしたのだ。

一時期、メーカーにとって量産が期待できないモデルは整理されることが少なくなかった。ただ、現在はそうでもない。走りが楽しめることは、クルマにとっての重要な価値として見直されてきた。BMWも、新型2シリーズクーペによりそれを具現化したわけだ。

xDriveにより前後駆動力配分を0:100から50:50まで連続可変制御。フロントへの駆動力配分は必要な場面に限定され基本は0:100だ。今回は試せなかったが本国版広報資料には「ドリフト走行が可能」とも明記されている。

実際に、今回試乗したM240iは乗り込んだ瞬間からワクワクさせてくれる。運転席の座面が低いだけに目線が下がり、狙った走行ラインに照準が合わせやすくなる。しかも、ロールやピッチングといった姿勢変化ではなく加減速Gと横Gがダイレクトに伝わってくるのでクルマの挙動も実感しやすい。走り始める前から、楽しむための準備が整っている。

期待は、その通りになる。コーナー進入時には、ステアリング操作に対して超正確に長めのノーズが向きを変える。着座位置が重心に近いので向きの変わり具合がリアルに実感でき、走行ラインは狙いのまま。ステアリングの切れ味は走行モードをスポーツにしてもスムーズで、手応えが4シリーズより軽いことも好印象だ。

2シリーズのキドニーグリルは、8シリーズやZ4と共通の横長。ただ、グリル内は従来のバーではなく空気抵抗を低減し燃費を向上するために通常は閉じているフラップ式。エンジンの冷却が必要な時だけ自動的に開く。

コーナリング中のロールは、ほとんどゼロレベルだ。オプションのアダプティブMサスペンションが装備されていたので、走行モードがスポーツならダンパーの減衰力は高めの領域で維持される。ただ、ガチガチに締め上げているのではなく、むしろサスペンションはスムーズに動いている。そのため、路面のうねりにも4輪が追従しフラットな姿勢が保たれる。

コーナー脱出時、ステアリングを戻しつつアクセルを踏み込む。3Lの直列6気筒ターボエンジンは前後駆動力配分を最適制御するxDriveを組み合わせ、タイヤの性能を最大の効率で引き出すので走行ラインを外さない。ステアリング操作とアクセル操作において、横Gが加速Gへと移行する過程が完ぺきに一致する。

ホイールベースが従来型よりも長いので、後席の足元スペースは大柄な男性が座っても余裕がある。ただ、車高が低くなったので頭上スペースは狭く日本人として平均的な体格の男性でもギリギリでセーフな程度だ。

そして、アクセルを踏み込む。走行モードがスポーツなら、3500rpmからエンジン音に低周波のビートが重なり回転数によりパワーを稼ぐ領域に突入したことを知らしめる。場面が許せば、Dレンジのままでも7000rpmに迫る勢いで一気に吹け上がる。

フォト=宮越孝政/T.Miyakoshi ルボラン2022年7月号より転載

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萩原秀輝
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