伝説の迷車!「ハマグリシルビア」のバンダイ製プラモを後期型・限定車にモディファイ!!【モデルカーズ】

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個性的なスタイルに根強いファンも少なくない

初代シルビアが1968年に販売を終了した後、7年を経て1975年に突如登場したのがニューシルビア、いわゆる2代目シルビアである。型式ではS10となるこのモデル、デビュー時には「ニューシルビア」が車名であり、エンブレムにもそう綴られていた。成り立ちには初代との繋がりは全くなく、同時期のサニーのシャシーに専用のボディを載せたものである。一説には、当時日産が研究開発を進めていたロータリーエンジンを搭載する予定だったものが、ロータリーはお蔵入りとなり、車輌のみデビューに至ったものとも言われる。このニューシルビアは、主に北米市場――特にセクレタリーカーといわれるジャンル(安価な2ドア車)――をターゲットとしたため、非常にアクの強いスタイリングを採用しており、日本国内でのセールスは不振なまま1979年に3代目S110系へとモデルチェンジした。キャビン周りの形状を見ると、初代をフルヴィア・クーペになぞらえるなら同じランチアのフルヴィア・スポルトに似たものもあるが、ボディサイドに入ったゆるやかなプレスラインなどには、1960年代後半のビュイック・スカイラークなどとの類似も感じられる。

この独特なボディ形状から「ハマグリシルビア」などともあだ名されたS10型だが、シャシーは前述の通りサニーのものを流用しており、ホイールベースやトレッドも共通。そのため大柄なボディと足周りにアンバランスな所があるのは否めない。サスペンションは前ストラット/後ろリーフリジッド。エンジンはブルーバードUなどに搭載されていたL18を採用、このユニットは最高出力105psを発揮した。のちにインジェクション仕様のL18Eも追加、こちらは出力115psとなる。

グレード名はシングルキャブ仕様がLSシリーズ、インジェクション仕様がLS-Eシリーズと呼ばれて区別された。さらに1977年にはマイナーチェンジを実施。フロントグリルはデザインを変更し、ボディと同色のフレームが付く形に変更された。また、前後バンパーにも大きなガードラバーが装着されている。

さらに同年には、限定車の「セレクトモデル」が登場。ボディ同色のフェンダーミラーや専用生地のシート、そして専用のツートンカラーとストライプがその特徴となる。しかし、やはりその特徴ありすぎるエクステリアが仇となったのであろうか、人気は一向に上昇しないまま、1979年にフルモデルチェンジが行われたのであった。3代目シルビア・S110型がそのクリーンなボディラインからなかなかのヒットモデルとなったのは、皆さんも既にご存知であろう。

この2代目シルビア、新車当時は話題であったのかプラモ化の数は少なくない。ニチモ、エーダイ、アリイなどのキットがあるが、中でもひときわ完成度の高いのが、バンダイ製1/20スケールである。ここでお見せしているのはこの貴重なバンダイ製キットを制作したものだ。しかし、ただの素組みではない。ひとひねりして後期型へモディファイ、先述のセレクトモデルを再現したのである。

グリルからホイールまで自作で再現!
後期型フロントグリルはイチから自作することにした。まず左右両端をプラ板から切り出すため、フロントフェンダー先端の形状をセロテープでトレース、2.0mm厚のプラ材を切り出す。グリルのベースはキットパーツの形を0.2mm透明プラ板にトレースした。スケールを合わせた実車写真の上で確認しながら、プラ材を接着していく。1.2mmプラ板を切り出しライト部を開口、透明プラ板の下に接着。グリル内のモールは0.4mm厚のプラ帯。隙間をラッカーパテで埋め、余白をニッパーでカットし成形。センターグリルはプラ帯を重ね、中央エンブレムはキットパーツから切り出した。

ホイールリムはバンダイ1/20ケンメリ後期のパーツを使用、ディスク面を切除。スポークはナガノのZ432R(最終版)のパーツから切り出し、表裏どちらも平らに削って裏側を自作のベースとする。先のリム内径が15.5mm、これに合わせ再びカット。外側がやや細くなるようマジックインキで下描き、リム内に良い感じに収まるよう薄くし、0.4×2.0mmのプラ帯を写真のように切り出してスポークに接着。ここで、実物はスポークの間が塞がっているとに気づいたので、パテで間を埋めた。硬化後、余白をカットして整形。できたホイールをレジンで複製してパーツを増やした。

ボディは塗装前にサイドバイザーを再現しておく。0.2mm透明プラ板から切り出し、ボディに接着。上側のボディカラーには、Mr.カラーC313 イエローFS33531 を使用。ガイアカラーのExクリアーを吹いてから塗り分け、下側のカラーには実車用塗料ソフト99 S-818 スズキ用ZEL マルーンブラウンPを、Mr.カラーうすめ液で1:1に割って使用した。ストライプは行きつけの模型店にて発注した自作デカール。格子模様はシート柄だ。サイドバイザーや窓枠は、スパッツスティックスで塗り分けた。

この他、バンパーはメッキを剥離したうえでプラ材を貼り込み、削り込んでガードラバーを再現。タイヤはホイールリムと同じくバンダイ製ケンメリから流用した。実車のエンジンはインジェクション仕様となるがキットはシングルキャブなので、バンダイ製ケンメリ後期型の上げ底エンジンパーツからエアクリーナー/インテークコレクターを切り出して組み合わせている。なお、フロントグリルにはセレクトモデル専用の金色のバッジが付くが、作例では省略した。

作例制作=坂中善之/フォト=服部佳洋 modelcars vol.241より再構成のうえ転載

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2022/06/12 09:00

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