苦手なはずの岡山で堅実な走りを披露
こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。
今シーズンのスーパーGTは、ニューマシンのBMW M4GT3が投入されることもあり、1年振りに監督に復帰することとなりました。どうぞ温かく見守ってください(笑)。
というわけでこの連載も復活! 今回は開幕戦の模様をお届けしたいと思います。
プロローグ
遂に2022年のスーパーGTが開幕した。
闘いの場は岡山国際インターナショナルサーキット。二本の長いストレートと大小13にコーナーが複雑に絡む非常にテクニカルなレイアウトのコースで、スーパーGTに参戦する全てのマシンの中で最も巨体でホイールベースの長いBMW M4GT3にはやや苦手に映るサーキットである。BMWワークスドライバーであるアウガスト・ファルフス選手も様々な困難な壁を乗り越え金曜日の搬入日に無事この地に足を踏み入れた。
さぁ、いよいよBMW M4GT3の初陣であり、BMW Team Studieが初めてタッグを組むミシュランタイヤとのレースが幕を開けた。M設立50周年な特別な年でのチャンピオンシップ奪還に向け、自然と気合いと期待が高なってしまう。
ここまでで最も不安な要素としては本当に運悪くテストの日はほぼ全て雨が降っていて、ドライタイヤでのテストが全くと言っていいほど出来ていない事。唯一晴れたフジでの公式テスト二日目では、センサーエラーでデヴァイスがうまく動作せず、このドライセクションでもほとんど走れなかったには非常に痛かった。
なのでミシュランタイヤとしても今回は机上の計算でのタイヤを持ち込む事しか出来ず、これがどのぐらいのパフォーマンスを発揮し、それが何周まで持つのかが誰にもわからない状況でのレースは、やはり非常に不安にならざるを得なかった。
予選
我々の参戦するGT300クラスには今回多種多様な27台ものチームが参戦している。
これを16台までに振り落とすのが予選Q1だ。午前の練習走行でも二人の走りに遜色は無いが、よりこのコースに慣れ親しんでいる点を考慮し荒聖治にステアリングを委ねた。A,Bの二つのグループに分けられているので、そのグループでTOP8に入れば無事にQ1が通過出来てQ2に進めるシステムの中、荒聖治は見事に5番手のポジションを奪取し、アウガスト・ファルフス選手につないでくれた。
そして、2009年のWTCC依頼の岡山国際インターナショナルサーキットを走るアウガスト・ファルフス選手はそんな心配をどこいく風がごとく荒聖治以上のタイムを叩き出して7番手のポジションを獲得。明日のレースは4列目からのスタートになる事になった。個人的には3列目までに入りたかった想いもあったが、前記したタイヤの問題を抱えての走行にしては上出来な結果であったとも思える。
決勝
全く雲一つ無い快晴な天気は予想よりもかなり気温・路温共に上昇していたがこれはライバルチームも同様であろう。
300kmという距離を2時間弱で争うわけだが、とにかくこの岡山国際インターナショナルサーキットはタイヤに辛いコースであるゆえ、後半の5〜6周で順位が大きく変わる事が多く、なんとかしぶとくTOPを狙っていきたい。スタートドライバーは荒聖治。これもスーパーGTのスタートに慣れている事と、アウガスト・ファルフス選手自体からも一度シッカリスタートの様子をチェックしたい、というリクエストもあった事もありそうなった。
荒はベテランらしくキッチリとスタートを決めたが、その後レースは全体的に膠着状態になり、皆なかなか前のクルマをオーバーテイク出来ず。ほぼ予選順位どおりのポジションでレースが進んでいった。26周目を超えたあたりから予想とおりリアタイヤのグリップ低下を荒が伝えてきたので、数周予定よりも早かったが30LAPS目にピットインしアウガスト・ファルフス選手に交代した。
荒の外したタイヤの状況からも無線で「とにかくリアタイヤを守って走ってくれ!」と伝えたので、相当丁寧にドライブしているにも関わらず、流石現役BMWワークスドライバーと唸るドライブを続け、60LAPS目には5番手までポジションを上げたが、やはり荒同様このあたりからリアタイヤのグリップが落ちてきて、その後は後ろに7台を連ねたファルフストレイン状態になるが、彼のコース取りの上手さに後続はペースの落ちてきているファルフス選手をなかなかオーバーテイクする事が出来ず、無理やり抜こうとしたマシンは皆その後止まりきれずやコースアウトやスピンを繰り返した。
しかし、レースフィニッシュまであと6LAPSという70周目に他車に後ろから追突されコース外に弾き飛ばされ、我々の新体制での開幕戦はリタイアという結果で終える事になった。
開幕戦を終えて
リタイアは残念だが、本当に多くの収穫を得たレースであった。BMW M4GT3のこういうタイトなコースでのパフォーマンスは想像以上であったし、念願のドライシチュエーションでのデータもたくさん収穫する事が出来たのは大きい。
次戦は富士スピードウェイである。世界でも稀な日本で最もハイスピードなコースはBMW M4 GT3が一番伸び伸びと走れる場と言っても過言ではないだろう。今はその時を心待ちにしている。決戦は5月4日。ゴールデンウィーク中で最もお客様も多くいらっしゃるレースで最高の勇姿をお見せしたい。
BMW Team Studie公式ページ https://teamstudie.jp/
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