よりゴージャスに進化・深化した2代目
「フェアレディZ」は、日本を代表するスポーツカーとして、言わずと知れた存在だ。「スポーツカー」と呼んで差し支えない車種は日本にもいくつか存在するが、その歴史の長さ、ルーツの深遠さ、そして世界に与えたインパクトの大きさなどにおいて、比肩するものはない。その初代モデル・S30型系が登場したのは1969年のこと。オープンスポーツカーであったフェアレディ(S310型系)のモデルチェンジとして生まれた初代Zだが、その誕生にあたっては日本国内同様、いやそれ以上に、北米市場に受け入れられることが目標だった。クローズドボディの快適性、豪華さと扱いやすさ、そして既存車種とのパーツの流用・共用による低コストとその結果によるお求めやすさ。何より、ロングノーズのファストバックボディはあまりに格好良かった。発売されるや忽ち大人気となり、北米市場では予想以上の大ヒットを記録、欧州製スポーツカーを駆逐してしまったほどだという。以下は国内仕様に話を絞るが、1971年にはロングノーズの240ZGを追加、1974年には4人乗りの2by2を加えて、2代目・S130型系へと進化したのはデビューから9年後、1978年のことである。
ボディスタイルは初代のイメージを踏襲したものだがサイズは拡大され、Bピラー付きとなる代わりにドアがサッシレスとなり、構造的にも一新された。エンジンは先代同様L型6気筒だが、3ナンバー用は2.4Lから2.8Lへと排気量をアップ。サスペンションもリアをストラットからセミトレに改めている。2人乗りと4人乗りの2種類のボディを、ホイールベースを変更して用意しているのも先代同様だが、1980年にはTバールーフを追加。これはボディ剛性を確保しながらサンルーフ以上のオープンエア感覚を齎すものであった。
インテリアはダッシュボードに初代の面影を残すものの、装備も充実し、よりゴージャスなものとなっている。1982年には2Lモデルにターボを追加するなどしたのち、登場5年目の1983年にモデルチェンジ、3代目・Z31型へとバトンタッチした。
新車当時は人気の高かったS130だけに、プラモデルも各社から発売されているが、1/24スケールで特に評価が高く今も入手もしやすいのはタミヤの280Z(2シーター)とアオシマのスーパーZ(『西部警察』仕様)であろうか。しかし、ここでお見せしているのはそのどちらでもない。「隠れた名作」として今もマニアの間で語り継がれているクラウン製1/24キットを、日本国内仕様の280Z Tバールーフ2BY2として制作したものである。 タミヤからエンジンを移植して再現性を向上!
クラウン製キットの制作ではあるが、タミヤのZからパーツを流用してエンジンルームを再現したい。そこでまずボディからボンネットを切り離し、ヒンジはプラ板と針金で自作した。シャシーのエンジン部分は電池スペースとなっているため、電池ホルダーを削除しエンジンルームを構成していく。タイヤハウスはアオシマ製R30スカイラインから移植、ストラットアッパー部はタミヤのキットから複製して組み合わせた。隔壁はプラ板で作製、エンジンなどをタミヤから移植する。バッテリーやタンク類、イグニッションコイルは自作品。ホイールはタミヤのパーツ(写真右)の方が出来が良いのでこちらを使用した。
キットは左ハンドル仕様のため、タミヤ130Zから右ハンドルのインパネを流用。シート背面はプラ板で埋め、ヘッドレストの横のシートベルトホルダーをプラ板で作製、シートベルトは製本テープを使用し、バックルはプラ板とアルミ板で自作した。フロアマットは紙やすりを切り抜き、着色したもの。キットは北米仕様の再現のためボディにサイドモールがないので、プラ板で自作して取り付け国内仕様に改めた。フェンダーミラーはタミヤから流用、鏡面はアルミ板を研磨したもので再現。アンテナは虫ピンで自作している。
前述の通りエンジンはタミヤのものを移植したがシャシーはクラウンのパーツだ。キットの箱側面には「精密に再現された本格的シャーシー」と謳われているが、ほぼ全てレリーフ状のモールド表現で、別体の部品はアンダーガード/フロントサスペンションとマフラーエンドの2点のみ。ただし、タミヤのシャシーで省略されているリアサスペンションがしっかりモールドされているのはポイントが高い。
S130Zらしさのひとつと言えるツートンカラー(マンハッタントーニング)は、クレオスのシルバーとフィニッシャーズのピュアブラックの塗り分けによって再現している。
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