今年の2月にワールドプレミアされた、アウディのBEV第2弾となるe-tronGTにクローズドコースで試乗する機会を得た。その完体はエモーショナルなデザインを纏った、長距離を快適に移動するための新しいエレクトリック4ドアグランツーリスモである。
未来を見据えたグランツーリスモ
アウディは2025年までにEVを25車種、PHEVを含めたECV(エレクトリカリー・チャージャブル・ヴィークル)を30車種ほどに拡大していくと表明するほど電動化に熱心なブランド。年間販売台数200万台レベルながらこれほど大規模に展開できるのは、フォルクスワーゲン・グループのリソースをフルに使えるからだ。
すでに日本で販売されているe-tronのプラットフォームはMLB Evoでプラグインハイブリッドやエンジン車でも使われる汎用タイプだが、同クラスでEV専用となるPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)をポルシェと共同開発中。近い将来の日本上陸が期待されるQ4e-tronはフォルクスワーゲンのコンパクトカー用EV専用プラットフォームのMEB、そして今回試乗したe-tron GTはポルシェ・タイカンと同じJ1プラットフォームとなる。
床下にバッテリーを敷き詰めるEVは背が高くなりがちだが、J1はシート下にはバッテリーがなく、後席足元にフットガレージと呼ばれる窪みをつけることで、従来のスーパースポーツと同様の低いシート位置となり、全高はe-tron GTで1413mm、RS e-tron GTで1396mmという低さを実現した。
今回試乗したのは本国仕様のRS e-tron GTで、高速周回路のテストコースのみとなった。モーターを前後に搭載するクワトロで、リアは2速トランスミッション付き。0→100km加速は、3.3秒と驚速だ(e-tron GTは4.1秒)。ちなみにタイカンはエントリーモデルの5.4秒からターボSの2.8秒まで幅があり、RS e-tron GTと同等なのはターボとなる。
せっかくのテストコースだから発進からアクセル全開。もちろん驚くほど速いが、とてつもなく滑らかでアウディらしい走りの質感がある。最高速は250km/hとアナウンスされているが、メーター読みではそこを超えても伸びていき270km/hにも届いた。200→250km/hでも6〜7秒しかかからず、そのパワーと空力性能の高さにも舌をまく。発進加速と高速性能を両立するため、EVなのに2速化したのも納得だ。また、エンジン車で超高速走行をすると、エンジンマウントによる揺動が気になるものだが、それと無縁なのでビシッと走り、路面の荒れや風などの外乱を正確に感じることができるので自信を持ってドライビングできる。
タイカンと同様に室内には人工的に作られたサウンドが響く。加速していくと電気感のヒューンという音がして加速感やスピード感がわかりやすい。サウンドはSubdued(落ち着いた)、Balanced、Dynamicと3種類だ。回生はデフォルトでコースティング状態、パドルによってもう2段階の強さを選択できる。
ハンドリングはあまり試せていないが、ステアリング操作に対しての動きは正確でスムーズな印象を受けた。クワトロは様々な制御をしているだろうが感覚的には自然で、EVならではの高いシャシー性能を上手に引き出しているようだ。乗り心地も判断しづらい状況ではあったが、タイカンに比べるとしっとりと落ち着きがあるように思えた。グランツーリスモとしての特性を重視しているのだろう。
日本での発売は今秋を予定。早く公道で試乗してみたいものだ。
【Specification】アウディ RS e-tron GT
■車両本体価格(税込)=17,990,000円
■全長×全幅×全高=4989 /1964 /1396mm
■ホイールベース=2900mm
■トレッド=(前)-mm(後)-mm
■車両重量=2347kg
■バッテリー種類=リチウムイオン
■バッテリー容量=93.4kWh
■定格電圧 =800V
■モーター種類=永久磁石シンクロナスモーター
■モーター最高出力=598(440)ps(kW)※オーバーブースト時646(475)ps(kW)
■モーター最大トルク= 830(84.6)Nm(㎏ -m)
■燃費=-
■トランスミッション形式=2速
■サスペンション形式=(前)Wウイッシュボーン/エア、(後)マルチリンク/エア
■ブレーキ=(前後)V ディスク
■タイヤ(ホイール)=(前)245 /45R20(9J)、(後)285 /40R20(11J)
公式ページAudi RS e-tron GT > e-tron > アウディジャパン
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