1993年に初代が登場して以来、5代目となるメルセデス・ベンツCクラスが姿を現した。そのスタイルには、現行モデルからのキープコンセプトといえる、Sクラスと共通するデザインランゲージが与えられ、さらに最新のメカニズムと機能を搭載。国内への上陸時期は未定とのことだが、いかほどの進化を遂げているのか楽しみだ。
「ベビーSクラス」と呼ぶべきスタイルと機能
メルセデス・ベンツにとってCクラスは最多販売モデルで、2014年に登場した現行モデル(W205)はワゴンも含め、これまでに世界市場に向けて250万台以上が出荷され、1982年の190から数えるとなんと1050万台がオーナーの手に渡っている。
このように人気の高いモデルゆえに開発陣がキープコンセプトに徹したのはよく理解できる。それは従来モデルを強く彷彿させるキャビンバックフォワードのプロポーションに見られる。すなわち長いボンネット、後方にオフセットしたキャビン、短いトランクからなる伝統的な後輪駆動レイアウトである。採用されたプラットフォームはMRA(メルセデス・リア駆動・アーキテクチャー)と呼ばれる後輪駆動専用で、正確にはこのCクラスでは2世代目すなわちMRA-Ⅱが採用されている。
ボディサイズは現行モデルよりも全体的にわずかに大きくなっており、現時点までにわかった数字では全長4751mmで65mm長く、ホイールベースは25mm延長され2865mmとなった。その結果フロントとリアパッセンジャーの肘周りは22mm、そして15mmの余裕がそれぞれ生まれた。さらにリアシートの足元は35mm延長され快適性が向上している。
エクステリア・デザイン(写真はAMGライン)は基本的にはほとんど変わらないが、フェンダーにまで回り込んだ横長LEDヘッドライトの両端がさらにシャープになり、グリル中央に輝くスリーポインテッドスターの左右にはウィング状のクロームラインが走る。さらにAMGラインではグリル下のフロント・スカート両脇に開口部の大きなエアインテークがレイアウトされている。またボンネット上には2本のパワードームが並び全体の印象はスポーティだ。一方、リアエンドはヘッドライト同様にトランクリッドまで広がる、切れ長で矢羽のようなシャープなデザインのコンビネーションライトが与えられている。全体の印象はまさにベビーSクラスで、空力特性は最良のモデルでCd値0.24に達している。
そしてこの印象はインテリアへと続く。そこはほぼ完璧にSクラスの世界で、オーナーが触れる部分は全てソフトで高品質な素材が使われている。ドライバーの正面には10.25あるいは12.3インチ(オプション)、そしてダッシュボード中央には9.5インチ、あるいは11.9インチ(オプション)のタッチパネルが用意されており、古典的なスイッチは中央パネル下のハザードくらいだ。また、オペレーション機能は最新のMBUXがコントロールしており、ソフトウエア・アップデ―トはCクラスとしては初めてOTA(オーバー・ジ・エアー)で行われる。
オプションで用意されるヘッドアップ・ディスプレイはカラー表示で、イメージサイズは9×3インチ(23cm×8cm)。もちろん最新鋭のAR(オーギュメント・リアリティ、すなわち画面がノーズからおよそ4.5m先に浮かび上がり、ナビの指示と実像が重なる。
パワープラントに関しては、新型からは全てが1.6と2Lの4気筒で、ガソリン仕様の出力は170ps、204ps、そして258psの3種、ディーゼル仕様は全て2Lで、163ps、200ps、そして265psとなる。これらのエンジンはナノスライドコーティングとコーニッシュシェイプと呼ばれるシリンダーボア形状を持つファミリー・オブ・モジュラー・エンジン。6気筒と共通のボア/ストローク、シリンダーピッチで製造工程を容易にするなどコスト面での優位性を持っている。
ガソリン、そしてディーゼル(初)も三菱電機製のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を使った48Vのマイルドハイブリッドを搭載、アイドリング・ストップからのスムーズな再スタートなどを行う。また15kW(20ps)と200Nmのパワーでブーストも可能にする。組み合わされるトランスミッションは今回から9Gトロニックが標準装備となった。
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