ハッピーキャラとコスパが最高!
小さくてオシャレなコンパクトカーと言って最初に思い浮かぶのはフランス車ではないだろうか。しかもここに揃えたフレンチコンパクトはどれもモデルチェンジしたての魅力的なモデルばかり。ならば、ドイツの小さな高級車に照準を合わせ、持ち前の明るいキャラで勝負を挑んでみた!
コンパクトカーに求める要素が満載
偶然とはいえ、今回の4台はいずれもカラフルなボディカラーを身にまとっていて、色々とままならない世の中にあっては見ているだけでもなんだか気持ちが軽くなる。「下取りの時に有利だから」「冠婚葬祭で目立たぬように」などの理由で、日本では白黒シルバーのボディカラーが多く、灰色の道路の上には地味な色が行き交い、彩りに欠けていてつまらないなと自分なんかは思ってしまう。
色味が人に与える影響は大きくて、今回のようなポップな色合いだと、乗ったらきっとワクワクするのではないかと期待がふくらむ。国産車の場合はあっさり裏切られることも多いのだけれど、特にフランス車やイタリア車は黒白シルバー以外の色味と乗り味がなんとなく合っているような気がする。
光の当たり加減ではゴールドにも見える“ファロ・イエロー”と呼ばれるボディカラーはプジョー208。昨年7月から日本導入が開始されて以来、巷ではすこぶる評判がよく楽しみにしていたが、ようやくそのステアリングを握ることができた。“そのステアリング”は相変わらず異形で小ぶりのもので、テレスコ&チルトを使って下げ気味にしないとメーターパネルが視認できないというプジョー独特のレイアウトが継承されている。メーターは何層かのレイヤーによって奥行きのある3Dのような見栄えであり、でも視認性は悪くない。少なくとも、“新しい”感は満載である。
シトロエンとプジョーとルノーのフランス車はいずれもオリジナリティある味付けがされているのだけれど、しいていえばプジョーの乗り味はもっともドイツ車に近いところにいると思っている。208でもやっぱり同じように感じた。“ドイツ車に近い”というのは、フランス車の中では比較的減衰が速い足周りのセッティングで、相対的にしっかり感が全面に現れているということ。ステアリング操作に対する車両の応答性もいいが、この点に関しては後述する新しいルノー・ルーテシアも似たようになっていた。
試乗車のアリュールは16インチを履いていて、おそらくこれがベストバランスだと思われる。17インチになるとコツコツと路面の入力を拾うようになり、それこそドイツ車みたいで、フランス車らしさを求めている人の期待をやや裏切ることになるかもしれない。いまどきのフランス車は決してフワフワしていないけれど、4輪の接地感の良さがちゃんと伝わってくる穏やかな乗り心地で、同時に気持ちのいいハンドリングも両立させている。おそらく、ブレーキを使ったトルクベクタリングも効いていると思われるが、介入の仕方が極めて自然であったし、新しいプラットフォームの恩恵でもあるのだろうと推測できる。
3気筒エンジンはまったく非力ではないし8速ATとの相性も抜群でパワー不足を感じる場面はほとんどなかった。振動の抑制もお見事。その昔、“ホットハッチ”なんて言葉があったけれど、少なくともハンドリングに関してはその懐かしい呼び名を思い出してしまった。