ダイムラー、ボルボなどが脱炭素の新組織を設立

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燃料電池トラックの生産増だけでなく、水素ステーションの整備なども進める

より厳しくなる欧州のCO2規制を受け、大型トラックのメーカーも脱炭素 (ガソリン、ディーゼルからの脱却)に向けた動きを活発化させている。経済活動に欠かせないトラック輸送は多くの荷物を運べる積載能力の確保に加えて長い航続距離が欠かせないため、電気自動車の導入は現実的でないとされている。そこで有力候補となるのが水素を燃料に長距離走行も可能な燃料電池トラックだが、トラック自体のコスト増に加えて水素供給インフラの未整備もあり、なかなか実用化の域には達していない。

エネルギー密度が高いガス状の水素の代わりに液体水素を使用することで、動力性能はディーゼルトラックと同等になるという。

そんな課題に対応すべく、トラックメーカー最大手のダイムラーとボルボトラック (ボルボ・グループ)は2020年4月には燃料電池トラックの開発に向けて合弁会社を設立することに合意。ライバル同士が手を結ぶ動きとして注目されたが、さらにここにきて燃料電池トラック普及のスピードアップを図るべく、エネルギー企業なども含めた幅広い協力組織を作り上げることになった。速度を速めるという意味のAccelerateをその名に織り込んだ新たなコラボレーション「H2Accelerate (H2A)」には2社に加えてイタリアの車両メーカー大手IVECO (イベコ)、オーストリアのエネルギー企業OMV、エネルギー大手のシェルが参画。水素製造施設や水素補給ステーションなども含め、燃料電池トラックが稼働できる大規模ネットワークの構築に乗り出すことになった。
まず2020年代前半のフェーズ1では数百台の燃料電池トラックの展開と20カ所程度の水素ステーションの建設を手がけ、続く2020年後半のフェーズ2では燃料電池トラックを大量生産により1万台以上に増やし、欧州全体の物流をカバーできるレベルまで高めるとしている。傘下企業の共同投資に加えて各国政府などへの働きかけにより、実現可能な計画として進めていく考えだが、現在はディーゼル主体の陸上物流を水素に置き換えるというドラスティックな動きがどんな形で進められるのか興味深いところ。
物流自体が抑制されている現在の新型コロナ・パンデミックが、かえってそうした動きを後押しすることになるのか。水素新時代に向けた大きな動きになる可能性もあるだけに、おおいに期待したいところだ。

ルボラン2021年3月号より転載

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田畑修
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