4世代目に進化した新型コンチネンタルGT/GTCの国際試乗会が開催された。完全新設計のパワートレインを搭載し、シングルヘッドライトの採用など、大胆なデザインDNAを織り込んだベントレーのデザイン革命のはじまりを体現していた。
GTかGTCか、悩ましい選択だ
四世代へと進化した新型コンチネンタルGT。まずは最上級グレードのGTスピード/GTCスピードからデリバリーが始まる。第三世代をベースとしつつコンポーネンツの約7割は新設計で、特に新開発のV8プラグインハイブリッド(以下PHEV)パワートレインや完全刷新されたアクティブサスペンションシステム、新設計の400V電気アーキテクチャーなど性能や機能を決定づける主要なパートは刷新されている。日本市場でのデリバリーを前に公道を使った国際試乗会がスイスの山岳リゾート地アンダーマットにて開催された。
試乗車はGTCスピード。トップを開けて走り出す。ドライブモードをB(=クルマにお任せ)にして走らせた途端、上質で滑らかなライドフィールに驚いた。PHEVゆえ電動でのスタートとなるのだが、その静かでスムースな走りに見合うようアシがウルトラスムースに転がり始めたからだった。
先代のGTCといえばクーペに比べるとちょっと肩の力が抜けたような乗り心地であったものの、そのぶん一般道では大きなタイヤがバタバタすることがあった。新型は違う。アシはしっかり抑えつけられ、震えもなくスムースによく転がるのだ。アクティブサス、特に新たに採用されたツインバルダンパーとデュアルチャンバーエアスプリングが効いている。
最初のランナバウトを回って早くもハンドリングの良さを実感した。ハイブリッド化による重量増などまるで意に介さず素直に曲がっていく。バッテリーを後方に配置することで前後重量配分が改善されたからだ。
険しい山岳路を登っていく。アクセル開度75%、140km/hまではBEVとして走らせることができる。Bモードではそれを最大限活かそうとするし、電動性能に不足はない。けれどもエンジン好きとしては早々に新開発V8の実力も試してみたくなった。モードをスポーツに変えるとV8クロスプレーン特有の唸りが響く。今どきのことだから決して爆音ではない。けれども乗り手の心を躍らせる豊かなラウドさで、サウンド自体も以前より格段に心地よく、スポーティだ。
加速フィールは恐ろしいまでに強烈。1000Nmの凄さを実感する。特に中間加速が圧倒的だ。ここでも重量バランスの良さが効いていて、応答は俊敏で、だんだんクルマが小さくなっていく錯覚に陥った。加速中のスタビリティも十分。安心して踏んでいける。さらに驚かされたのは、コーナリングパフォーマンス。とにかくグイグイ内を向く。前後重量配分の改善がここでも効いているのと、リアステアやアクティブシャシーの働きも大きい。4WDであることを忘れるどころかFRそのもの。過去三代とはまるで異なる。
特筆すべきはコンポジットブレーキのタフネスぶり。強めの制動をかけても重量を感じさせず、姿勢良く減速する。実にコントローラブル。あまりに楽しいハンドリング性能で、とうとうテストドライブの最後までスポーツモードから離れなかった。そんなベントレーは初めて。もちろんクルージングのライドフィールも相変わらず安定感に満ちている。以上の感想はクーペに乗り換えても変わらなかった。というわけで、GTかGTCか、大いに悩んでもらいたい。
【SPECIFICATION】ベントレー・コンチネンタルGT
■車両本体価格(税込)=39,303,000円
■全長×全幅×全高=4895×1966×1397mm
■ホイールベース=2851mm
■トレッド=前:1672、後:1664mm
■車両重量=2459kg
■エンジン形式/種類=V8DOHC32V+ツインターボ+モーター
■内径×行程=86×86mm
■総排気量=3996cc
■最高出力=600ps(441kW)/6000rpm
■最大トルク=800Nm(81.6kg-m)/2000-4500rpm
■モーター形式/種類=交流同期電動機
■モーター最高出力=190ps(140kW)
■モーター最大トルク=450Nm(45.9kg-m)
■バッテリー容量=25.9kWh
■燃料タンク容量=80L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速DCT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/35ZR22、後:315/30R22
問い合わせ先=ベントレーモーターズジャパン TEL0120-97-7797
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