【国内試乗】“国民車”の新しい主役「フォルクスワーゲン・Tクロス」

Tクロスがマイナーモデルチェンジを受けた。外観のアップデートと共にエンジンや足回りの設定が見直され、上質な走りを実現。ここでは国内での走らせた第一印象をお届けしよう。

3気筒エンジンがレベルの高い走りを実現

フォルクスワーゲンSUV3兄弟の末弟であるTクロスがマイナーチェンジを果たした。7月3日の国内リリースから約2カ月半後、国内の公道で試乗する機会を得た。

1L・3気筒と7速DSG による走りは実に軽快。日常域ではパワー不足を感じることはない。

Tクロスは2020年から2022年までの3年間、輸入SUVカテゴリーにおいて登録台数1位を獲得。2023年は2位となったものの、代わりに1位となったのはひとつ上の兄、Tロックであった。本格的な走行性能を兼ね備えた長兄ティグアンの新型も11月以降に国内デリバリーが開始される予定で、この2モデルは2024年末から2025年にかけて、コンパクト/ミドル級SUVの中心モデルになることが予想される。

フォルクスワーゲン・TクロスTSI R ライン

Tクロスは輸入車のプレステージを持ちながら全幅1760mmに収まるサイズ感と戦略的な価格設定が相まり、国産車からの乗り換え層も含めて多くのファンを獲得してきた。そして結論から言えばこの新型は、魅力や美点がさらに増し、1位返り咲きを予感させる出来栄えであった。

ラインナップする3グレード統一で、最高出力116ps/最大トルク200Nmを発揮する1L3気筒エンジンを搭載。

その顕著とも言える点が、搭載する1L 3気筒エンジンだ。7速DSGとの組み合わせによる走り出しは実にスムーズで、ステアリングを握った手に微振動を感じさせることなく滑らかに加速していく。首都高速道路の合流ポイントでアクセルをぐっと踏み込んだ時でも、3気筒の弱点ともいえる振動と音が顔をのぞかせることはない。60km/hを超えたあたりから唸り声がかすかに耳に届いてくるものの、十分な遮音がなされていることにより、車内の静粛性はしっかりと保たれ、耳障りと感じることもない。搭載する3気筒エンジンは、かつてのTクロスよりは、ワンランク上の走りを実現していると言えるだろう。

試乗車のTSI Rラインは18インチアルミホイールを標準装備。

今回はワインディング路を試すことはできなかったが、街中で試乗した限りでも、ステアリングの切り込みに対しては素直によく曲がり、実に扱いやすい印象を受けた。先代では多少気になった、足元のバタつきも感じることはなく、乗り心地も良好。

上質なソフト素材で仕上げたダッシュパットなど質感の行き届いたインテリア。「デジタル・コクピット・プロ」など快適なドライブをアシストする機能も充実している。

シティコミューターの甲乙はサイズ感やパッケージング、価格設定が先行しがちだが、日常域での取り回し性・静粛性・振動抑制など、クルマとしての基本性能のマネジメントこそ、パッセンジャーにとっての本質的な快適性や安楽をもたらしてくれるはずだ。

お馴染みのチェック柄が採用されたシート。後席は前後スライド機構が備わり、ラゲッジルームの拡充性にも対応。また前・後席ともにタイプCの充電ポートが2つずつ備わる。

また、エクステリアデザインやインテリアについても、今回のアップデートから手を加えられている。バンパーは先代よりもややスマートな印象へと変わり、フロントライトはLEDマトリックスIQ.LIGHTが採用され(TSIアクティブ以外は標準装備)、テールはクロスデザインのライトとシーケンシャルウィンカーが備わり先進的な仕上げとなっている。

インテリアは、ダッシュパッドやシートファブリックの質感が高められ、シートヒーター(TSIアクティブ以外は標準装備)やBeatsサウンドシステムなどがオプションで選択可能となる。昨今のコンパクトクラスで散見される表層的な豪華さの追求に終始することなく、質感のブラッシュアップと実用面での選択肢を増やすことにより価値を上げたところにフォルクスワーゲンの誠実さが感じられる。

また、誠実という点で見逃せないのは、今回の価格設定もそのひとつ。上位グレードであるTSI Rラインは先代よりも装備が充実しているにも関わらず、約10万円も安い。Tクロスは実質的なブランドのエントリーモデルとしての責も担っているが、これまでの実績では、購入の50%が女性であるという。今回の新型も新たな層や年代にアピールする戦略的なモデルであることも予想できるだろう。

ラゲッジ容量は通常時で455L、60:40の分割可倒式シートを折り畳めば1281Lまで拡張される。クラストップレベルの容量が確保され、レジャー等での使い勝手もよい。

ベタークオリティ、ベタープライスを実現する新型Tクロス。まさに“国民車”としてのを矜持を感じさせる一台だ。

Tクロスとしては初となるLEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」を採用。

テールライトはクロスデザインが新たに採用される。

【Specification】フォルクスワーゲン・TクロスTSI R ライン
■車両本体価格(税込)=3,895,000円
■全長×全幅×全高=4135×1785×1580mm
■ホイールベース=2550mm
■トレッド=前:1525、後:1510mm
■車両重量=1260kg
■エンジン型式/種類=DUS/直3DOHCV+ターボ
■内径×行程=74.5×76.4mm
■圧縮比=11.4
■総排気量=999cc
■最高出力=116ps(85kW)/5500rpm
■最大トルク=200Nm(20.4kg-m)/2000-3500rpm
■燃料タンク容量=40L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=17km/L
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前:マクファーソンストラット/コイル、後:トレーリングアーム/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:215/45R18

問い合わせ先=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン TEL0120-993-199

フォト=勝村大輔 ルボラン2024年12月号より転載

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2024/11/05 11:30

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