とにかく静かでまろやか。絹の道を走るかのようなコンフォート性能を持つブリヂストンのレグノシリーズが装い新たに「GR-XIII」として生まれ変わった。ENLITEN(エンライトン)技術を基に到達したコンフォートの現在地を探る。
製品開発の概念を変えて新しいレグノが誕生した
ブリヂストンのレグノといえば、最高峰のプレミアムコンフォートタイヤとしての地位を40年以上にわたり築き上げてきた。とにかく静かでまろやかで、絹のような乗り味を持つ。その方向性を踏襲しながら本当の意味で“グローバル化”を遂げたのが新作として誕生したレグノGR-XIII(ジーアール・クロススリー)だと思う。
その背景にはBEVへの対応がある。バッテリーの影響で高重量にならざるを得ないBEVに対して腰砕けであってはならない。エンジンの音や振動がないぶん、ロードノイズだって耳に届きやすい。さらに純正設定でのタイヤサイズは大口径かつ低扁平化が著しい。プレミアムコンフォートタイヤにとっては難しい時代である。
その回答としてブリヂストンはタイヤづくりの概念から一変させた。タイヤづくりの初心に戻るかのごとく「薄く、丸く、軽く」に徹底的にこだわって基礎開発を続け、タイヤの基本性能を全方位的に向上させたうえで、銘柄の方向性ごとにタイヤをカスタマイズするENLITEN(エンライトン)という設計基盤技術を実用化した。すでに北米向けのトランザなどに採用されるが、これをレグノGR-XIIIにも持ち込んだ。
銘柄を考えれば、カスタマイズの方向性は徹底的にコンフォートなのだろう。しかし「丸く」はともあれ「薄く、軽く」は「重量級に対応するコンフォート性能」を目指すにあたってネガティブだと思える。しかし継続的な研究開発が、この二律背反する要求性能を両立させたと開発陣は述べる。
その言葉は、いま市場の最前線で活躍するさまざまなBEV、そしてハイブリッドカーのステアリングを握ることで納得できた。特にBMW i4やメルセデス・ベンツEQEなど、アウトバーンに象徴されるヨーロッパの高速長距離移動を想定したBEVを支えるにあたって、頼りないヨレや腰砕け感はまるでない。発進や停止時、そしてレーンチェンジでは、タイヤの軽さを感じ取れるかのごとく、足もとが軽やかな印象も抱く。肝心かなめのプレミアムコンフォート性能も抜群だ。とにかく静かで滑らかに走り、段差を乗り越えても不快感はまるでない。ハイブリッドカーの一例として用意されていたレクサスES300hでもその印象は同じ。コンフォート性能よりもむしろ、操縦安定性の良さは純正を凌いでいると思えた。
レグノブランドらしいコンフォート性能は、旧来からのユーザーは満足できるだろう。その上で大陸的なグランツーリスモ性能を植え付けたのが、このレグノGRXIIIだと思えた。15〜20インチの範囲で豊富なサイズ設定があるし、そのなかにエクストラロード(XL)規格をクリアしているものも多い。
BEVやハイブリッドといったパワートレインの多様化に、SUVの一般化など、トレンドが高重量化していっても、レグノは常にプレミアムコンフォートを提供してくれる。そこに比類なき安心感を抱くと同時に、この類稀なる技術は日本ばかりではなく世界中のユーザーを振り向かせる存在なのかもしれない。
問い合わせ先=ブリヂストン TEL0120-392936 tire.bridgestone.co.jp
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