【比較試乗】溢れ出す走りへの情熱は隠せない!高性能スポーツの最前線「BMW M2クーペ vs アウディRS 3セダン vs フォルクスワーゲン・ゴルフR 20イヤーズ vs ポルシェ718ケイマン スタイルエディション vs メルセデスAMG CLA35 4マチック」

ゴルフRシリーズの日本導入20周年を記念した特別仕様車がゴルフR 20イヤーズだ。ここでは、同モデルのポテンシャルを測るためにドイツの最新コンパクトスポーツを集め、キャラクターの違いやそこに込められた熱い情熱について考察してみた。

独のコンパクトクラスは高性能スポーツが豊富

高性能スポーツモデルは、何故これほどまでに魅惑的なのだろう。フェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーももちろんそうだが、もっと身近なモデルのハイパフォーマンスバージョンは、より現実的なだけに、クルマ好き、走り好きの心を揺さぶってくる。
ひと昔前、いやふた昔前なら、輸入車の高性能スポーツモデルといえば、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIがその筆頭だった。だが、近年は各ブランドのコンパクトカーにハイパフォーマンスバージョンが軒並み設定されている。

VOLKSWAGEN GOLF R 20YEARS(右)対AUDI RS 3 SEDAN(左)

そこで今回は、ドイツ各ブランドのコンパクトクラスのスポーツモデルを集め、各モデルの走りやキャラクターの違いなどを、改めて探ってみた。
今回用意したのは、フォルクスワーゲン・ゴルフRと、アウディ・RS3セダン、メルセデスAMG・CLA354マチック、BMW・M2クーペ、そしてポルシェ・718ケイマン スタイルエディションの5台。ゴルフRとRS3セダン、CLA35の3台は、どれもエンジン横置きFFベースの高性能4WDモデルで、M2クーペはエンジン縦置きFR、718ケイマンはMRと様々。ボディタイプもハッチバック、4ドアクーペ、セダン、2ドアクーペとバラエティに富んでいる。このラインナップを見るだけで、現在ドイツブランドのコンパクトクラスは、いかに高性能スポーツモデルが豊富に揃っているかを実感できる。

まずはゴルフRから見てみよう。今回用意したのは、ゴルフRの生誕20周年記念特別仕様車の「ゴルフR20イヤーズ」である。
このモデルには、大型化されたリアスポイラーや専用デザインのナッパレザーシートなど、内外装に多数の専用装備を採用しているほか、ドライブモードに「スペシャル」と「ドリフト」が追加されている。

特別仕様車のゴルフR 20イヤーズは、2ピース構造の大型ルーフスポイラーと19インチアルミホイール、アクラポビッチ製のチタンエキゾーストシステムがおごられる。インテリアには、カーボン調のテクスチャーが施された専用デザインのナッパレザーシートに加え、リアルカーボン製のデコラティブパネルがあしらわれる。

さらに2L直4ターボエンジンは、専用チューンにより最高出力が333psと、通常のモデルから13ps引き上げられている。結果、0→100km/h加速は0.1秒短縮の4.6秒、最高速度は270km/hという卓越したパフォーマンスを手に入れている。

その走りは、もはやコンパクトクラスの優等生として知られているゴルフのイメージとはかけ離れた、凄みを感じるものだった。
直4ターボエンジンは驚くほど軽快に吹け上がり、1540kgの車体をピュンピュン加速させる。ハンドリングも極めてニュートラルで、4WDのクセなど微塵も感じない。乗り心地はややハードだが、十分に実用に耐えるレベルを実現している。今回は都内での試乗だったが、ワインディングロードでは素晴らしくファンなドライビングが楽しめるだろう。

足回りのセッティングが絶妙なRS3セダン

お次はRS3セダンだ。ベースとなっているA3は、御存知の通りゴルフとMQB evoプラットフォームやコンポーネントの多くを共用したモデルだが、RS3はRSモデル専用の2.5L直5ターボユニットを搭載しているだけに、ちょっと特別である。

アウディのRSシリーズの中では最もベーシックなモデルとなるRS 3は、400psの2.5L直列5気筒ターボを搭載する。パーフォレーテッドレザー巻きのステアリングホイールやアルミ調の加飾はRS 3専用アイテムとなる。また、「RS」ロゴがヘッドレスト下部に入るスポーツシートが標準装備される。

この5気筒ユニットは、400psと500Nmを発揮。この強烈なパワーにより、0→100km/h加速はわずか3.3秒と、もはやスーパースポーツカー並みの俊足ぶりである。ドライブモードを「ダイナミック」へ切り替えると、強烈な加速を披露し、ハンドリングもグッと切れ味が増す。
これは緻密な制御で知られる電子制御4WDシステムであるクワトロに、「RSスプリッター」と呼ばれる後輪左右の駆動トルクを、外輪により多く配分する機構が備わった点が大きい。足回りのセッティングも絶妙で、スタビリティも抜群に高く、快適性とハンドリングの自由自在感はゴルフRよりワンランク上という印象である。

2023年の9月にマイナーチェンジが施されたCLA。AMG35 4マチックでは、縦ルーバーをあしらったAMG専用フロントグリルに新デザインのボンネットエンブレムを採用する。また、DRL(デイタイムランニングライト)のデザインも変更され、より精悍さを増したヘッドライトがシャープな印象を与えている。

AMG CLA35は、前述の2台と比較すると、よりラグジャリーな印象である。BSGを備えた2L直4ターボは306ps/400Nmと十分パワフルだが、車重が1670kgとやや重めであるためか、走りは大人しめだ。とはいえ絶対的には文句なく速く、ハンドリングも俊敏。421psと500Nmを発揮するAMG製ユニットを積む「CLA45S 4マチック+」であれば、もっとダイナミックな走りを味わえるだろう。

BMW M2 COUPE(左)対PORSCHE 718 CAYMAN STYLE EDITION(右)

M2クーペは、サイズこそコンパクトだが、ドライビングフィールは車格がひとつ上という感覚だ。実際にプラットフォームは3/4シリーズと同じCLARで、エンジンもM3やM4と同じS系の3L直6ツインターボを縦置き搭載したFRモデルなのである。
実際に走りも、M4クーペをギュギュッとコンパクトにしたような印象だ。460ps/550Nmを発揮する直6ターボは、回転が上がるほどに力感が漲る感覚で、積極的に高回転をキープしたくなる。ハンドリングはFRらしくとても素直で、僅かなアンダーステアを維持しながら、狙ったとおりに走行ラインをトレースできる。とても「サーキットを走りたい!」と思わせる一台だ。

718ケイマンの走りはちょっと次元が違う

最後は718ケイマンだ。今回の試乗車は、充実した装備とハイコントラストなスタイリングが魅力の特別試乗車「スタイルエディション」の6速MT車。スペック的には718ケイマンのベーシックモデルと同じである。
予想はしていたが、走りは完全にミッドシップの高性能スポーツカーで、他の4台とはちょっと次元が違う。300ps/380Nmの2L水平対向4気筒ターボは、5台の中では特に高出力というわけではなく、0→100km/h加速も5.1秒と控えめだが、クルマの良し悪しは数字ではないということを端的に示していた。

スタイルエディションは、718ケイマンのエントリーモデルをベースに、300ps/380Nmを発生する2L水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。6速MTを標準装備する同モデルの0→100km/h加速は5.1秒(オプションの7速PDK使用時は4.7秒)を実現。リアエンドにはブラックのスポーツテールパイプが装着される。

718ケイマンは、クルマの動きはもちろん、ペダルやシフトレバー、ステアリングの操作フィール、シートの座り心地まで、完全にスポーツドライビングが目的であることが明らかなのだ。最も近いのはM2だが、やはり純粋に走るためだけに開発されたピュアスポーツカーとは差があると言わざるを得ない、というのが正直な感想である。
なので、「とにかく走りを楽しみたい! 実用性なんか関係ない!」という人には、今回の5台の中では718ケイマンがオススメである。だが世の中の多くの人はそういうワケにもいかない。最終的には好きなブランドやおサイフ事情、家族構成、駐車場事情などを元に選ぶことになる。

M2クーペはワイドフェンダーの採用により、220iクーペよりも全幅が60mm広く、最低地上高が7mm低く設定されている。3L直6ターボエンジンに組み合わされるトランスミッションは、パドルシフト付きの8速ATと6速MTが設定されている。駆動方式はFRのみの設定で、Mスポーツディファレンシャルを標準装備する。

とにかく元気に、ワインディングロードを路面を掻きむしるように走りたいならゴルフRだろう。速さと上質感、先進性を味わうならRS3がオススメだ。5気筒ユニットの独特なサウンドも味わえる。適度なスポーティネスとラグジャリーな雰囲気を楽しむならAMG CLA35だ。ワンクラス上のダイナミックな走りを楽しむなら、M2クーペを選ぶといい。

【SPECIFICATION】MERCEDES-AMG CLA35 4MATIC
■車両本体価格(税込)=8,540,000円
■全長×全幅×全高=4690×1835×1405mm
■ホイールベース=2730mm
■車両重量=1670kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1991cc
■最高出力=306ps(225kW)/6100rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/2500ー4000rpm
■トランスミッション=8速DCT
■サスペンション=前:ストラット、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前後:245/35R19

問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 TEL0120-190-610

【SPECIFICATION】VOLKSWAGEN GOLF R 20YEARS
■車両本体価格(税込)=7,928,000円
■全長×全幅×全高=4295×1790×1460mm
■ホイールベース=2620mm
■車両重量=1540kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1984cc
■最高出力=333ps(245kW)/5600-6500rpm
■最大トルク=420Nm(42.8kg-m)/2100-5600rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション=前:ストラット、後:4リンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前後:235/35R19

問い合わせ先=フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン TEL0120-993-199

【SPECIFICATION】AUDI RS 3 SEDAN
■車両本体価格(税込)=8,490,000
■全長×全幅×全高=4540×1850×1410mm
■ホイールベース=2630mm
■車両重量=1600kg
■エンジン種類/排気量=直5DOHC20V+ターボ/2480cc
■最高出力=400ps(294kW)/5600-7000rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/2250-5600rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション=前:ストラット、後:ウイッシュボーン
■ブレーキ=前後:ディスク
■タイヤサイズ=前:265/30R19、後:245/35R19

問い合わせ先=アウディジャパン TEL0120-598-106

【SPECIFICATION】PORSCHE 718 CAYMAN STYLE EDITION
■車両本体価格(税込)=9,520,000円
■全長×全幅×全高=4379×1801×1295mm
■ホイールベース=2457mm
■車両重量=1410kg
■エンジン種類/排気量=水平対向4DOHC16V+ターボ/1988cc
■最高出力=300ps(220kW)/6500rpm
■最大トルク=380Nm(38.7kg-m)/2150ー4500rpm
■トランスミッション=6速MT
■サスペンション=前後:ストラット
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:235/35ZR20、後:265/35ZR20

問い合わせ先=ポルシェジャパン TEL0120-846-911

【SPECIFICATION】BMW M2 COUPE
■車両本体価格(税込)=9,720,000円
■全長×全幅×全高=4580×1885×1410mm
■ホイールベース=2745mm
■車両重量=1730kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ツインターボ/2992cc
■最高出力=460ps(338kW)/6250rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/2650-5870rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=前:ストラット、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:275/35R19、後:285/30R20

問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437

フォト=郡 大二郎 ルボラン2024年3月号より転載

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竹花寿実
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