正真正銘の”農道のポルシェ”
ドイツレベルから2018年1月、ポルシェ・ディーゼルのトラクターが1/24スケール・プラモデルとしてリリースされた。この前の数年から、クオリティの高いカーモデルを次々と送り出しており、その流れは現在(2024年2月)も続いているドイツレベルだが、トラクターをモデル化してくるとは、当時は予想もつかない人が多かったのではないだろうか。
【画像44枚】ドイツの農地で存分に活躍した名車の姿と、その制作過程を見る!
このトラクターの“ポルシェ”とは、ざっくりと言えば勿論あのスポーツカーで有名なポルシェだが、トラクターそのものは同社自ら生産されたものではない。しかし、設計に携わったのはフェルディナント・ポルシェ博士である。ポルシェ博士は、後にフォルクスワーゲンとなる国民車の設計と同時期に、もうひとつの国民車とも言うべきトラクターの設計に着手。最初の試作は1934年のもので、これはガソリン車だった。
この後に作られた初期の試作車3台は、いずれも後のポルシェ・トラクターの特徴、エンジンとミッションをハイドロカップリングで繋ぐ構造を採用していた。空冷ディーゼルエンジンの設計が完成したのは戦後、1950年代初めのことだったという。
ただし、当時の西ドイツでは、戦中から継続してトラクターを生産していたメーカーにしかその製造が認められておらず、ポルシェはオールゲイアー(西ドイツ)とホッファーシュランツ(オーストリア)に設計を売り、トラクターを自社で生産することはなかった。そんな中、1956年に西ドイツの大手機械メーカー・マンネスマンがトラクター業界へ参入。同社はポルシェのエンジンとオールゲイアーの車体のライセンスを購入し、ポルシェ・ディーゼルの名で1963年までトラクターを製造したのである。
セミスナップキットながらもフルディテール
ポルシェ・ディーゼルのトラクターは822ccの単気筒エンジンを基本に、気筒数を2、3、4と増やすことでラインナップを展開していたが、レベルがキット化したジュニア108はそのうちの単気筒モデルで、最高出力14馬力というスペック。生産台数は僅か1000台で、現存する状態の良い個体は非常にレアな存在となっているという。
レベルのキットは部品点数76点、対象年齢10歳以上の“イージークリック・システム”として、セミスナップキット的な手軽さを謳っているが、マーキングの類はステッカーだけでなくデカールも用意され、初心者だけでなく上級者のモデリングにも対応する、幅広い持ち味の製品となっている。ご覧いただいている作例ではその持ち味を存分に引き出してみたので、皆さんの参考になれば幸いだ。
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