4発2ドアはGTと同じリアスタイル
1957年、プリンスの高級セダンとして生まれたスカイライン。当初はトヨペット・クラウンに対抗するような、運転手付きで乗るタイプの高級車であったが、1963年発売の二代目からは車格をひとつ落とし、ファミリー向けセダン市場へと転進した。この二代目において、レース活動に向けた2000GTというモデルも登場、以後長いことスカイラインは4気筒のファミリー向けモデルと、6気筒のGT系モデルの二段構えでその系譜を継いでいくことになる。
【画像31枚】スポーティなショートノーズHTとその制作過程を見る!
1972年9月にデビューしたC110型系は四代目スカイラインとなるが、プリンスが日産に吸収されてからのスカイラインとしては三世代目にあたる。このC110スカイラインが、「ケンとメリー」の巧みなコマーシャルによって歴代最大の販売成績を誇る人気モデルとなったことは、今さらあらためて語るまでもないかもしれない。次の五代目・C210型系へとチェンジするまでの5年間で、実に合計67万台を売り上げている。
むろん、いくら宣伝が良くても、クルマそのものが良くなくては売れる訳がない。二、三代目と徐々に強調されてきたスポーツイメージ、そして初代から継承されてきたゴージャスムード、その巧みな融合こそケンメリ大成功の理由であった。豪華なムードは先代よりも若干大柄なボディと、よりアメリカンな印象を強めたボディスタイルからもたらされているが、機構的には先代C10系からほぼ変わりなく、L20型6気筒2Lエンジンに前ストラット/後セミトレのサスペンションという基本コンポーネンツ(これはGT/GT-Xの場合)を受け継いでいる。
一方、4気筒モデルはプリンス直系のG型エンジン(1.6LのG16と1.8LのG18、計2種)を搭載、サスペンションはリアがリーフリジッドとなるが、L型と違いクロスフローのG型は吹け上がりもよく、鼻先の短さによる軽快な走りから、GTよりむしろこちらを好むツウも少なくなかった。4気筒モデルには2ドア・ハードトップと4ドア・セダン、そしてバン/ワゴンの3つのボディが存在(うちバン/ワゴンは4気筒のみ)。セダンでは6気筒の円形テールに対し、4気筒は上下2段に台形を3つずつ並べたテールとすることで、ひと目で分かる差別化がなされていたが、ハードトップでは4気筒も円形テールであった。
前期モデルはG型、後期モデルはL型を搭載
ここでは4気筒モデルに絞って、もう少し詳しく見ていこう。セダンの4気筒モデルは、まず1600は営業車(ガソリン/LPG)、スタンダード、デラックス、スポーティーデラックス、スポーティーGLと大まかに5モデルがあり、1800はスポーティーデラックスとスポーティーGLがあって、全7モデルという構成。ハードトップでは1600はスポーティーデラックスとスポーティーGLがあり、1800はスポーティーGLのみで全7モデル。バンは1600スタンダードと同デラックス、1800デラックスの計3種、ワゴンは1800スポーティーGLのみとなっていた。
エンジンのG16は先代では存在しなかったもので(1.5LのG15があった)、四代目用にG18をベースとして新開発されたユニットであり、最高出力は100psとされている。G18は先代同様に105ps。トランスミッションはスタンダード用に3速MT(コラム)などもあったが、4速MTと3速AT(ニッサンマチック)がメインとなっていた。
スポーティーGLは1.6、1.8ともに4気筒・各排気量の最高グレードとして存在したもので、その名の通りGT系にも通ずるスポーティな装備が売りである。具体的には、タコメーターや大型コンソールボックス、クロック・コンソール(ルームミラー上部に時計を取り付けたもの)、チルト式ステアリング、自動巻き取り機構付きシートベルトといったアイテムが装着された。
1975年10月には、GT系より少し遅れて50年度排出ガス規制適合のためエンジンをL16とL18に変更。これに伴いマイナーチェンジも実施され、円形だったヘッドライト枠が四角形となるなどのリデザインを受けている。このあと翌年3月には1600が、5月には1800が、それぞれ51年度規制適合のため再度変更を受けたが、1977年8月、モデルチェンジにより新型のC210型系へと移行した。
愛車の前期型スポーティーGLを絶版キットで再現!
さて、ケンメリは人気車種であるだけに、当時も今もプラモデル化は数多いのだが、発売されたキットはいずれもGT系あるいはGT-Rであり、4気筒モデルの製品化はない。ただし、GTにしてはちょっとノーズが短いのでは? と思われるキットも存在したが……。ここでご覧いただいている作品は、かつてリリースされたキットの内のひとつ、エルエス製2ドアGT-Xの1/24スケール・プラモデルをベースに、ノーズを縮め、さらにフル開閉化、エンジンも自作再現して制作したものだ。
現在であれば、最新のハセガワ製GT-Xをベースとするのが常識的なアイデアであろうが、この作例制作時はハセガワ製キットは未発売であった。エルエスのこのキットは、時代を考えるとなかなか良好なプロポーションを有しており、そこにあらためてスポットライトを当てる意味も、このベースキット選定にはあったのである。
実は、この作品の作者・森山氏は実際にこの2ドア・ハードトップ1600スポーティーGLを愛車としており、この作品もその個体を再現したものとなっている。そのコダワリの内容については、写真とキャプション、そして追って公開する後編の記事をご参照いただきたい。
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