全体のムードを掴むことに注力
実車のミツオカ・ビュートについては、前編の記事(下の「関連記事」参照のこと)にて、すでに述べた。ここでご覧いただいているビュートの作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」220号(2014年)の巻頭特集のために制作されたものである。以下、そのとき掲載された作者(Ken-1氏)自身による解説をお読みいただきたい。
【画像53枚】ボディ、内装の塗装から仕上げまで、その制作過程を見る!
「今回、僕が担当させて頂いたのは、なんと光岡のビュートです。日産マーチをベースにノーズとリア周りをジャガーMk.2風に仕立てたクラシック調デザインには、『おっ!?』と振り返るキュートさを感じますね。特にAK12となる二代目ビュートからはルーフパネルも独自のものとなり、リアへ繋がるラインに整合性が取れ、非常にまとまった仕上がりです。
ビュートはキット化されていませんが、幸いフジミ製K12マーチと、タミヤ製ジャガーMK.Ⅱがありますので、この2つをくっつければ出来るのでは?という、誰もやりそうも無い企画です(笑)。実のところ、僕はこのようなニコイチ改造は初めての経験(注:あくまで2014年時点でのこと)。逆に言えば、僕と同じく改造やってみたいけどできるかどうか……とためらっている方の参考になるのでは、とも思います。
今回はできるだけ両キットの使えるものは使い、無理に実車に忠実にするより全体的な雰囲気を捉え、ビュートらしさが出るように意識しました。実はこの作例、両キットのホイールアーチが同一だった事からアーチを基準にして合わせたのですが、実車の正確な全長から割り出したサイズからは前後数ミリ短くなっています。
やや前後が短い事から、コロンとしたキュートさが加わり、これはこれで可愛くていいように思います。そんなこともあり、リアノッチのラインはポリパテを盛り削りして、より全体のバランスと可愛さを強調するように、微妙にアレンジを加えました。
実車取材の成果を活かしつつ…
今回運のいい事に実車を取材させていただく事ができまして、内装やディテールをしっかり確認できたのは非常に役に立ちました。内装は配色をアレンジして、ややポップなネオクラシカルっぽさを狙っています。外装で一番の問題だったエンブレムなのですが、拝見した実車はロゴなどのない車輌でしたので、これ幸いとオミットしました。
その他、ハイマウントストップランプ、バックランプ、マフラーパイプの取り回しなど、実車を目の当たりにしなければ掴み取れない情報を得られたのは大変有意義でした。この場をお借りして、オーナー様、ご協力頂いた皆様に感謝します。
さて今回の、初めての改造にチャレンジしたビュート、いかがでしたでしょうか? らしさと雰囲気、特徴を強調したアレンジを加え、そしてなにより自分にとって完成させやすい手順とのバランスを考えつつ仕上げる方法。下手に忠実に再現する事に囚われて手が止まり、お蔵入りさせてしまう……よくある事だと思いますが、それよりも、アレンジを入れつつとにかくひとまず完成させる。それもある意味ひとつの回答と言えるのではないでしょうか。そこからは、何より大きな自信が得られると思います」
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