コルサモードはランボルギーニの本領発揮と言わんばかりの本気度が伺える!「ランボルギーニ ウラカン テクニカ」【野口 優のスーパースポーツ一刀両断!】

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V10ユニットのサウンドとレスポンスは歴代最高の出来栄え

実に10年にも渡り進化を続けてきたランボルギーニ ウラカン。しかもミッドシップマウントされるV型10気筒エンジンは、前作のガヤルドから受け継がれているから20年にも及び着実なアップデートを展開してきたことになる。昨今、ラインスパンが短くなってきたスーパースポーツカー市場において、これは異例と言えるかもしれない。本来なら完全なるオールニューのモデルを用意したほうが話題にもなり、好調な滑り出しを実現できるところを、敢えて“進化”と“派生”を繰り返して成功に導いているのだから今のランボルギーニの信頼性が如何に高いかが伺える。

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そのウラカンの最終型となるのが、この「ウラカン テクニカ」だ。ワンメイクレース車両のロードバージョンとして開発されたウラカンSTOと、従来からの正常進化版となるウラカンEVOの中間に位置するが、全身サーキット仕様を匂わせるSTOと同一の640ps仕様のV10エンジンを搭載しながらもエクステリアを控えめに抑えているのが最大の違い。今やランボルギーニの代名詞ともなったAWD仕様の他にRWDモデルもラインナップしているが、ホームページで確認したところ現在はRWD仕様のみになっていた。というのも、ウラカン テクニカとSTOは2023年までの生産と限定されているため、事実上、在庫のみということになるのだろう。

とはいえ、RWDだからこそ、その真価が分かる! というのが筆者の本音。これだけのパワーがあれば自ずとAWDを選択したくなる気持ちは理解できるものの、ウラカン テクニカの狙いが“ピュアイズム”にあるから、本質を味わうなら後輪駆動に限るということを強調したい。ましてやステアリング形式はSTOと同じく固定式。可変ギアレシオを採用するEVOなどとは異なるだけに、パフォーマンスと真っ向から向き合うことにこそ楽しみがあると思えば、“乗りこなす”醍醐味は倍増する! ただし、それでも後輪操舵(リアステア)が備わっているのは意外。それゆえ、実のところ慣れないと戸惑うことがあるかもしれない。

トリムやシート表皮にボディカラーと統一されたコーディネートが施されるスポーティなコクピット。各所にカーボン素材もあしらわれるなどレーシーな雰囲気も満点だ。

例えば、しばらく高速道路で移動した後、そのままワインディングに差し掛かった場合、デフォルトのストラーダモードのままだと、とにかく攻めにくいことに気づく。リアステアが搭載されていることで常にフロントとリアのバランスがとれていないように感じられ、違和感だけが残るのだが、これこそが固定式である証し。このところ可変式に慣れ親しんだせいで車両任せになっていた自分に喝をいれたくなるくらいだったが、これを一気にコルサモードにすると激変! その一体感は、他では味わえないほど楽しませてくれた。

5.2L V10ユニットは、前身となるガヤルドのデビュー当初から実に140psアップとなる最高出力640psを発生。最大トルクは565Nmで7速DCTと組み合わされる。0→100km/h加速は3.2秒、最高速度は325km/hをマークする。

もちろん、足まわりの設定やトラクションコントロールなどは、LDVI(ランボルギーニ ディナミカ ヴェイコロ インテグラータ)にとって統合制御され、その中にはトルクベクタリングも含まれる。そのため、ドライブモード毎に的確なセッティングが施されているのだが、テクニカのストラーダモードはあくまでも快適性に絞っているのは明らか。その一方、コルサモードは本領発揮と言わんばかりのランボルギーニの生真面目なまでの本気度を伺えるのが特徴だろう。

航空機を模したスタートストップスイッチもお馴染みの装備。走行モードは「ストラーダ」「スポルト」「コルサ」の3つが用意されている。

ランボルギーニのコルサモードはとにかく優秀だ。そのネーミングからはサーキット専用モードのように思われがちだが、実際はワインディングでも極めて有効で、むしろ公道でスポルトモードにするほうがリスクは高い。クローズドコースでテールスライドなどして遊ぶぶんには適しているが、ワインディングでの使用は避けたほうが無難である。しかもコルサモードは、これまでの経験からしてもサーキットではニュートラルステアに持ち込みやすいのは確実。そのコントロール性も高く評価されているし、このウラカン テクニカが最終型となることから、さらに優秀な一面を見せることは間違いないだろう。

ブロンズのダイヤモンドカットが施された20インチホイールはセンターロック式を採用するなどレーシーな印象。タイヤはブリヂストンのポテンザ・スポーツが組み合わされる。

それに加え、コルサモードにおけるV10ユニットのサウンドとエンジンレスポンスも実に魅力的だ。同時に乗り比べていないとはいえ、おそらくこれは歴代最高の出来栄え。高回転域での胸のすくような快感は、自然吸気エンジンならではだと、ターボエンジン全盛の今、あらためて思い知らされた。もはやこれを味わってしまうと、病みつきになりそうだ。

近いうちに発表されるであろう、ウラカンの後継車が如何なるモデルになるのか気になるとはいえ、熟成された今のウラカンの魅力は他には代えがたいものがある。特にウラカン テクニカは、EVO以上STO未満という丁度いいスーパースポーツカーだと今回の試乗を通じてあらためて痛感してしまった。跳ね馬のようなエンターテイメント性は得られない反面、実直に車両と対話できる数少ない1台だと言える。興味のある裕福な方は、急いだほうがいいだろう。

フォト:山本佳吾/K.Yamamoto

この記事を書いた人

野口優

1967年生まれ。東京都出身。小学生の頃に経験した70年代のスーパーカーブームをきっかけにクルマが好きになり、いつかは自動車雑誌に携わりたいと想い、1993年に輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。経験を重ねて1999年には三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務。2008年から同誌の編集長に就任し、2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。フリーランスとしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動している。

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野口優
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2024/01/29 12:00

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