【海外試乗】ボルボの新世代デザインを纏ったコンパクトSUVは日本にジャストサイズで走りの質感も◎「ボルボ・EX30」

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実質的に上位移行した40シリーズに代わって、久々にボルボが放ったコンパクトモデルは、近未来的かつエコシステムのループの中で自動車がどうあるべきか、具現化したようなピュアEVだった。スペインで試乗したEX30の実力に迫る。

車体だけで完結していない色々な新しさの秘密とは

古い言い方をすればエポックメイキング、今風にいえばリープフロッグ型のイノベーションといえる。無論、スウェーデンのメーカーのプロダクトとしてベルギー工場でやがて生産されるが、中国のジーリーと共有するSEA(サステイナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャ)に基づく分、従来のグローバル生産での新興国シフトとは、異なる時代のスキームによる新しい産物といえる。

シンプルな面構成でクロームはロゴのみ、サイドやリアに彫刻的な凹部が入る。ボディに用いられるスチールとプラスチックは約17%、アルミの約25%はリサイクル素材だ。

つまりボルボEX30の新しさは、BEVとして最新鋭のハードウェアやソフトウェアという、物理的・非物理的領域に限らない。既存の自動車メーカーが、カーボンニュートラル社会を目指すエコシステムの中で、市販車はかくあるべしという思想、21世紀前半にあらまほしき倫理観を、初めて可視化している。だからプレミアム側のBセグメント・コンパクトながら見逃せない、そういう“スルーできない”1台となっている。
パッシブ、アクティブ双方の安全性は無論、CO2を吐かないけれど、一充電あたりの航続レンジが長いこと、それが従来的なEVのトレンドだった。だから大きくプロテクション過多にさえ見える巨大バッテリー搭載の巨躯EVをADAS漬けにして、どうにか正当化するゲームが当世風という訳だが、設計段階からライフサイクル中のカーボンフットプリントを減じることをEX30は第一義に置く。それをエクステリアとインテリアに、きっちり表現している。

「ブリーズ」トリムは、ペットボトル再生素材のピクセルニットとノルディコのコンビ。花崗岩のような加飾パネルは、窓枠サッシを砕いたリサイクル素材だ。

外観はシンプルですっきりしたサーフェスが特徴だ。前後とも、スマート風な近頃の新車にありがちな真一文字バー・オーナメントはないが、ほぼ面の削り込みだけでボルボ特有の顔つきやショルダーの張り出しを、巧く表現している。何より、全長4.2mに全高1550mmに抑えられたサイズ感ごと馴染みやすい。
ハイライトはインテリアで、プレミアムカテゴリーのコードを一新しかねない。窓枠サッシやペットボトルの再生素材、リサイクル可能素材を積極的に、しかし上質な演出によって配した。配線やハーネスの量を削るため操作類や電装関連をセンター軸に集中させたインターフェイスも新しい。

スピーカーの配線を省くべくハーマン・カードンのサウンドバーをダッシュボードに備える。

12.3インチのセンタースクリーンは走行速度や選択中のシフト表示など、最上部でセンターメーターの役割さえ兼ねる。ドアミラーなど車両設定関連もかなり集約されている。インフォテイメント関連はナビゲーション含めグーグル搭載で、海外試乗会で相まみえた市販版に限りなく近い最終的な生産プロトでも、日本語の音声認識が当然のように使えた。
試乗車はリアモーターの後輪駆動で、275ps/343Nmのシングルモーター仕様だった。操舵に対して水平方向の動きは鷹揚だが、加速感はめっぽう力強く、乗員に優しくドライバーの意図に忠実な、ボルボらしい動的質感は十二分に感じられた。ペダルの敏感度もいき過ぎず、ワンペダル走行時も加減速そして停止まで扱いやすい。2段階引き出しのドリンクホルダーなど、車内収納もよく練られ、日常のデザイン大国スウェーデンの凄味を見せつける。

ラゲッジ容量は5名乗車時の318〜最大904L。

概してV40以来のコンパクト・ボルボにふさわしい、キビキビ感すらあるドライバビリティだが、120km/h前後で風切音は少しある。それでも採光ごと明るくEVらしい広さと静粛性を実現した車内空間の居心地よさは、従来的なB〜Cセグメントと比べて断然モダンな経験といえる。
電動化による「高級」の概念の変わり目を、EX30は巧みに捉えている。未だ自動車未満の新規参入EVとも、とくに内装で従来型プレミアムから脱しきれない他ブランドとも、かなり差が開いたところにいることは、確かだ。

【SPECIFICATION】ボルボEX30シングルモーター・エクステンデッド・レンジ
■車両本体価格(税込)=5,590,000円
■全長×全幅×全高=4235×1835×1550mm
■ホイールベース=2650mm
■トレッド=前:1590、後:1595mm
■車両重量=1790kg
■モーター形式/種類=TZ220XSA02/永久磁石同期電動機
■モーター最高出力=後:272ps(200kW)/6500-8000rpm
■モーター最大トルク=後:343Nm(35.0kg-m)/5345rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=69kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=560km
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/45R19(8.0J)

問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン TEL0120-55-8500

 

リポート=南陽一浩 フォト=ボルボ・カー・ジャパン ル・ボラン2024年1月号より転載

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2024/01/01 11:30

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